業務委託

(ぎょうむいたく)

一言でいうと

企業が雇用契約を結ばずに、外部の事業者や個人に業務の遂行や成果物の作成を依頼する契約の総称です。

もう少し詳しく

業務委託は民法が定める契約の類型の名前ではなく、民法上は主に請負と準委任に分かれます。民法第六百三十二条は、請負を、当事者の一方が仕事の完成を約束し、相手方がその結果に報酬を支払う契約と定めています。準委任は、第六百五十六条により、法律行為でない事務の委託について委任の規定を準用するもので、仕事の完成ではなく業務の遂行を約束します。開発の支援を時間単位で依頼する契約は業務の遂行を約束する点で準委任にあたり、納品物を定めて依頼する契約は仕事の完成を約束する点で請負にあたります。

契約の名前が業務委託でも、働き方の実態によっては雇用として扱われます。厚生労働省は、形式的には業務委託契約を締結している者でも、実質的に労働基準法上の労働者と判断される場合には労働基準関係法令が適用されると説明しています。勤務の時間や場所を企業が指定し、業務の進め方を細かく指示している場合は、この判断に関わります。

令和6年(2024年)11月1日に施行された特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)は、第二条第三項で、事業者がその事業のために他の事業者に物品の製造、情報成果物の作成、役務の提供を委託することを「業務委託」と定義しています。従業員を使用しない個人などに業務を委託する場合は、この法律が適用されます。義務の範囲は発注側の規模で異なります。第三条の取引条件の明示は、すべての発注事業者に課されます。第四条の報酬の支払期日(給付を受領した日から60日以内)、第十四条のハラスメント対策のための体制整備、第十六条の解除等の予告は、従業員を使用する発注事業者(特定業務委託事業者)に課されます。第十六条は、継続的な業務委託の契約を解除する場合や更新しない場合に、少なくとも30日前までの予告を求めています。契約の設計は弁護士や社会保険労務士などの専門家に確認してください。

実務でどう使うか

採用の代わりに業務委託を検討する場合は、任せる業務が請負と準委任のどちらに合うか、社員と同じ指揮命令のもとで働いてもらう必要があるかを最初に整理します。社員と同じ働き方を求めるのであれば、雇用契約を検討します。

業務委託から正社員への登用を想定する場合は、契約期間中の評価の方法と、登用の条件を事前に取り決めておきます。

よくある失敗

  • 契約書は準委任なのに、勤務時間や作業手順を社員と同じように指示する
  • 個人への委託で、取引条件を書面や電子メールで明示しない
  • 業務委託の期間を試用期間の代わりとして扱い、雇用に切り替える条件を決めていない。雇用に至らず契約を終える段階で、第十六条の予告期間が問題になります

混同されやすい用語

用語指すものこの語との違い
雇用使用者の指揮命令のもとで働き、賃金を受け取る契約労働基準法などの労働関係法令が適用される
労働者派遣派遣元と雇用契約を結んだ人が派遣先で働く形態派遣先が指揮命令を行う
副業・兼業本業を持つ人が別の仕事にも従事すること働く人の状態。業務委託は契約の形

出典