スカウトの文面と送付回数|採用業務のAI活用(第5部)
候補者ごとのスカウト文面をAIで作るときに、人が用意する材料と、件名と本文の構成、送る前の確認に加え、2回目以降の送信でどの程度の返信が見込めるか、リマインドをどう位置づけて集計するかを解説します。
この記事は、シリーズ「採用業務のAI活用」(全8部)の第5部です。各部の一覧はシリーズの目次にあります。内容は、HRdevが採用支援の実務で培った知見をもとにした使い方の例です。
第5部では、第4部で選んだ候補者の一人ひとりに、どのような文面でスカウトを送るかを扱います。スカウトの返信を左右する大前提は、自社が候補者にとって魅力のある会社であり、その魅力が候補者に適切に伝わることです。文章を書く作業はAIに任せることができますが、どの魅力をどの候補者にどう伝えるかは、人が材料として用意します。
図1 スカウト文面づくりの3つの層

下の層が整っているほど、上の層の工夫が返信の数に表れます。緑の層が、AIが下書きを担当する範囲です。
1. スカウトの返信を左右する自社の魅力と伝え方
スカウトの返信の数は、自社の魅力が候補者に伝わるかどうかで大きく左右されます。文面づくりでは、魅力を言葉にしたうえで、どの魅力をどう伝えるかを設計し、書き方はその後に考えます。
候補者は、その会社で働くことに関心を持ったときにスカウトへ返信します。事業の内容、取り組む技術の課題、任される役割、働き方といった自社の魅力が、その関心のきっかけになります。この魅力が言葉になっていない状態で文面だけを工夫しても、候補者が判断に使える情報は増えません。スカウト文面は、第3部で現場から聞き出し、求人票に書いた内容をもとに作成します。
魅力が言葉になっていれば、伝え方によって返信の数に大きな差が生じます。HRdevの実務上の感覚では、媒体が示す返信率と同じ数え方で比べて、文面の改善によって媒体の平均から5ポイント程度上がることがあります。返信率が10%の媒体で5ポイント上がると、返信の数は1.5倍になります。
文面づくりの要素を、図1の3つの層に沿って整理すると次のとおりです。
層 | 中身 | 扱う部 |
|---|---|---|
1 自社の魅力 | 事業の内容、取り組む技術の課題、任せる役割、働き方。採用や技術についての情報発信は、中長期で魅力の伝わり方を支える | 第3部(求人票) |
2 伝え方の設計 | 候補者ごとに、どの魅力をどの順で伝えるか。候補者の経験と希望に合わせて選ぶ | 第5部 |
3 文面の書き方 | 件名、書き出し、本文の長さ、送付回数 | 第5部 |
スカウトの返信には、文面のほかに、誰に送るか(第4部)と送るタイミングも影響します。送り手が設計できる要素のなかで影響が大きいのは誰に送るかで、次に文面、送るタイミングの順です。この順は、HRdevがこれまで扱ってきた媒体と職種での経験にもとづくもので、会社や募集によって異なることがあります。
この部では、何を伝えるかと文面の書き方を中心に扱い、送るタイミングはここで要点だけを示します。送り手は、候補者がスカウトを読みやすい時間を考えて送る時間を決定します。出勤や退勤の時間帯と昼休みの前は読まれやすいため、この時間帯に合わせて送り、深夜の送信は控えます。読まれやすい時間は媒体によって異なります。子どもの送り迎えの時間帯のように、狙う候補者が手を離せない時間にも送りません。時間帯ごとの返信率で判断するのは、送信の件数がたまってからにします。
2. AIに書かせる前に人が用意する材料
AIに書かせる前に、人が6つの材料を用意します。最初に、伝える自社の魅力と、候補者の強みが自社の課題にどう合うかを整理し、どの事実をどう並べるかはその後に決定します。
図2 文面づくりの前後で人が担当すること

AIは、真ん中の文面づくりを担当します。左の材料を人が用意し、右の確認を人が行います。
材料 | 中身 |
|---|---|
伝える自社の魅力 | 求人票に書いた魅力のうち、この候補者の経験と希望に照らして伝えるもの |
自社の課題と合う候補者の強み | 候補者の経験のどこが、自社のどの課題に合うか |
希望と懸念への答え | 本人の希望がどのように叶えられそうか、懸念がどのように避けられそうか |
求人票と職務経歴の原文 | 求人票、会社側の資料、候補者のプロフィールの原文 |
必ず残す決まり文句とリンク | 文面から削らない決まった言い回し、リンク、送り手の名乗り |
使わない言い回しの一覧 | 文面に入れない表現を並べたもの |
求人票に書いてある事実を並べ替えただけの文面は、候補者がすでに知っている情報の繰り返しになります。伝える魅力と、候補者の強みが自社の課題にどう合うか、本人の希望がどう叶い懸念がどう避けられそうかを先に整理し、その答えとして事実を並べます。
たとえば
職務経歴に「既存のシステムを止めずに新しい基盤へ移行した」とある方には、経験と、その経験に表れた強みへの所感を1文で書き、続けて今回の課題との接点を書きます。「既存のシステムを止めずに新しい基盤への移行を進められた点に、稼働中のサービスを保ちながら基盤を入れ替える強みがあると感じております。当社でも、今の機能を保ちながら基盤を刷新する設計判断をお任せしたいと考えています」。現職への不満や、候補者が何を考えて動いたかは、推測で書きません。
3. 文面の書き方
3-1 件名に使う要素と組み合わせ
件名は、候補者の目に留まりやすい要素をいくつか選び、組み合わせて作成します。ここでは、使える要素と、組み合わせの一例を示します。
件名に使える要素は、次の7つに整理できます。
要素 | 例 |
|---|---|
経歴の要点 | 「決済基盤の移行を主導された方へ」のように、職務経歴から拾った一点 |
呼びかけ | 改めてご連絡いたしました(再送のときに入れることが多い) |
数字 | 売上、前年からの成長率、資金調達額、導入社数 |
業界 | 物流、医療、建設、金融 |
事業の種類 | SaaS、マーケットプレイス、業務システム開発 |
役割 | テックリード、エンジニアリングマネージャー、プロダクトマネージャー |
募集の特殊性 | 一人目のエンジニア、開発の責任者、新規事業の立ち上げ |
一覧に表示される件名の文字数は媒体によって異なり、件名を設定する項目自体がない媒体もあるため、組み合わせは媒体ごとに選びます。次は、業界と社名、役割を組み合わせた例です。
「【業務システム開発|〇〇社】複数の製品の技術方針を決める開発責任者」
職務経歴から拾った要点を件名に入れ、候補者ごとに件名を変える組み合わせもあります。HRdevの経験からは、こちらのほうが返信につながりやすいと考えています。
数字や募集の特殊性に強みがある募集では、「【〇〇社|資金調達直後】一人目のエンジニアリングマネージャー」のように、それらを前に出す組み合わせも考えられます。どの組み合わせが合うかは、同じ募集で件名だけを変えて返信率を比べ、確認します。
呼びかけは1通目には入れず、再送のときに「改めて」などの言葉で初めて入れることが多くあります。件名で2通目だと分かると、同じ文面がまた届いたという印象を避けられます。
3-2 スカウト本文の構成と長さ
図3 1通のスカウトの構成と各部分の決まり

緑の枠が候補者ごとに書く部分、灰色の枠が毎回同じ内容を使うテンプレート部分です。
書き出しに置く経験と強みへの所感
書き出しには、職務経歴から拾った具体的な経験と、その経験に表れた強みへの所感を、1文につなげて書きます。所感の結びは「〜に強みがあると感じております」「〜に惹かれております」のように、送り手がどう受け止めたかを書きます。
「〜な方だとお見受けしております」のように候補者の人物像を評価する書き方や、候補者が何を考え、何を信じて動いたかを推測する書き方はしません。初対面の相手を評価する文面に読まれやすく、推測が外れた場合は、候補者の志向を作り上げたことになるためです。
書き方の例 |
|---|
不十分 ご経歴を拝見し、技術への強い情熱と高い問題解決力をお持ちの、大変優秀な方だとお見受けしました。ぜひ弊社でそのお力を発揮していただきたく、ご連絡いたしました。 |
十分 障害対応の手順書を自ら整備し、チームの対応時間の短縮につなげられた点に、障害を収めたあと、次から誰でも同じ手順で対応できる形まで整える強みがあると感じております。 |
キャリアの希望に触れる順番
相手のキャリアの希望に触れるときは、相手の希望を先に示し、そのうえで今回の役割とどう重なると考えたかを書きます。主体は相手なので、プロフィールに書かれた希望を示し、「だからこう考えた」という順にします。プロフィールに書かれていない志向は推測しません。役割の説明から入ると、こちらの都合を先に伝える文面になります。
書き方の例 |
|---|
不十分 今回の役割では、複数のプロダクトを横断した戦略とロードマップまで担っていただきます。「事業責任者として事業をリードしたい」というご志向にもつながると考えています。 |
十分 将来は事業責任者として事業をリードしたいというご志向を拝見しました。今回の役割は、複数のプロダクトを横断した戦略とロードマップまで担うもので、そのご志向と重なる部分が大きいと考え、ご連絡いたしました。 |
本文の長さと書き方の選び方
長さを決める前に、文面が受け手の言葉で書かれているか、受け手の職種やレイヤーに合っているかを確認します。HRdevが支援してきた経験者やハイレイヤーの採用では、短い文面が好まれる傾向があります。ただし、日頃から長い文章を読み慣れた職種では長い文面も読まれるなど、職種によって違いがあります。本文の型は、長さと書き方の2つの軸で整理できます。
図4 本文の型を整理する長さと書き方の2つの軸

4つの型は、受け手が判断に使う情報と、受け手の読み方に合わせて選びます。
たとえば、経営層やマネジメント層の候補者には要点を短く伝える型が読まれやすく、技術の詳細を判断の材料にする候補者には、取り組む課題や開発環境を項目ごとに示す型が合うことがあります。長さは本文全体の字数で考えますが、候補者ごとに書く部分と、毎回同じ内容を使うテンプレート部分(会社の案内、条件、署名)は、分けて設計します。
誰に送っても通じる文の見分け方
声をかけた理由を説明する部分が、候補者の名前を入れ替えるだけで誰にでも通じる内容なら、その候補者に向けた情報が入っていません。確認するときは、候補者の名前を別の方に入れ替えて読み、それでも通じる文が残っていないかを確認します。
参考資料と署名の置き方
結びのあとに、求人票や会社紹介資料などの参考資料と、送り手の署名を置きます。どちらも毎回同じ内容になるため、決まり文句として原本から写します。定型の部分が長いときは、「以下は皆様にお送りしているご案内です」のように定型であることを明示すると、候補者一人に向けて書いた部分と区別して読んでもらえます。
この章のまとめ
書き出しには、職務経歴から拾った具体的な経験と、その経験に表れた強みへの所感を、1文につなげて書きます。本文の長さと書き方は、受け手の職種とレイヤー、受け手が判断に使う情報に合わせて選びます。
3-3 スカウト本文で扱いに注意する3つの要素
図5 スカウト本文で扱いに注意する要素と代わりの扱い

個人の属性に触れるかどうかは、募集の要件と本人の希望に関わるかで判断します。
要件に関わらない個人の属性
年齢、今の年収、家族の状況、健康に関する記載のように、募集の要件に関わらない個人の属性には触れません。これらをほのめかす言葉も、同じ扱いにします。一方で、住んでいる地域や働く条件のように要件に関わるもの、本人がプロフィールに希望として明記しているものには触れてかまいません。「関西在住でリモート勤務を希望」と書いている方にリモート勤務の条件を伝えると、判断の材料になります。
募集条件として示す年収は、これとは別です。候補者の今の年収と、こちらが条件として示す年収を混同しないでください。
確かめていない事実を書かない理由
確かめていない事実は、文面に書きません。誤っていても送る前の確認で見落としやすく、そのまま候補者に届くためです。ハルシネーション(AIが事実と異なる内容をもっともらしく書くこと)を防ぐためにも、AIに事実を生成させず、確かめた材料だけで文面を組み立てます。材料が足りない箇所は、AIに埋めさせずに印を入れさせます。たとえば第3部と同じく🟡のような目立つ記号で可視化し、送る前に印が残っていないかを機械的に確認することをおすすめします。
お誘いの回数と面談の条件の伝え方
本文の中で面談にお誘いする箇所は1回だけにします。件名は回数に含めません。テンプレート部分(会社の案内や署名など、毎回同じ内容を使う部分。3-2)にすでにお誘いが入っているなら、AIが書く部分には入れません。お誘いを決まった一文で書かせておくと、送る前にその文の数を関数で集計できます。
お誘いの言葉にも注意が必要です。面談なのか面接なのか、誰が担当するのか、所要時間、オンラインか対面かといった面談の条件を、候補者が事前に把握できるように書きます。
この章のまとめ
要件に関わらない個人の属性と確かめていない事実は書かず、お誘いは1回にして面談の条件を伝えます。
3-4 スカウトと求人票の記載をそろえる理由
候補者は、スカウトと求人票を並べて読みます。スカウトを送ることは法律上の募集にもあたるため、本文に条件を書くなら求人票と一致させ、書かない場合も求人票へたどり着ける道筋を残します。
勤務地、雇用形態、年収を本文に書くなら、求人票の記載と食い違わせてはいけません。
本文に条件を書かない場合は、求人票へのリンクを置きます。外部へのリンクを認めていない媒体では、媒体内の求人ページや媒体の機能で求人票へ案内します。
4. 送付回数とリマインドの考え方
HRdevが支援してきたポジションでは、初回のスカウトの有効返信率の期待値が10%程度の場合、2回目の送信でもおおよそ5%前後の返信があります。2通目の内容が仮に薄かったとしても、もう一度開封してもらうきっかけになるリマインドには価値があります。
HRdevでは、送付回数を意識したアプローチを行っています。リマインドは、基本的にそれぞれの回の開封を促すものと位置づけ、返信も回ごとに分けて集計しています。
2通目以降で話の切り口を変えると、1通目とは別の話題に関心を持った候補者から返信が届くこともあります。次の表は、エンジニア採用でのスカウト本文の記載内容の例です。どの話を何通目に置くかは、会社の魅力や狙う候補者によって変わるため、組み立てを考えるときの参考にしてください。
通 | 本文の記載内容の例(エンジニア採用) |
|---|---|
1通目 | 相手のこれまでの経験と、今回の役割とのつながり |
2通目 | 技術面の具体的な話。取り組む課題、技術の選び方、開発環境 |
3通目 | 事業の構想と、会社が今どの段階にいて、この先どこへ向かうか |
詳しい説明は1通目と重ねず、2通目だけを読んでも、社名、募集する役割、連絡の目的が分かる程度にとどめます。
2通目を送る前に、辞退や連絡不要の申し出、応募、別の担当者からの連絡がないかを管理シートで確認し、該当する方は対象から外します。送る回数の上限も先に決定しておきます。
この章のまとめ
HRdevが支援してきたポジションでは、初回の有効返信率の期待値が10%程度のとき、2回目の送信でも5%前後の返信があります。リマインドは各回の開封を促すものと位置づけ、返信を回ごとに集計します。送る前に、辞退や連絡不要の申し出があった方、すでに応募した方、別の担当者から連絡を受けている方を対象から外します。
5. 送る前の確認
5-1 スカウトの文面に特有の確認点
AIの出力を業務で使うときの共通の注意は、第1部6章にまとめています。ここでは、スカウトの文面に特有の点を示します。
スカウトでは、誤った情報を送ることが候補者体験を最も損ないます。候補者は、自分の経歴を誤って読まれた時点で、その会社への信頼を失うためです。送る前に、書かれた経歴が職務経歴の原文と一致しているか、候補者の志向や不満をAIが推測で断定していないかを確認します。
媒体の字数の上限に収めるときも、返信率の実績を踏まえて残している決まり文句、リンク、名乗りをAIに削らせないでください。会社の資料や求人票をまとめて渡すと指示が長くなるため、文面に使う部分だけを渡します(第1部6章)。
5-2 送る前の機械的な確認と管理シートの列
送る前の確認は機械的に行います。材料が足りない箇所に付けた印(🟡など)が残っていないか、字数が上限を超えていないか、使わない言い回しが入っていないか、決まり文句とリンクが抜けていないか、面談へのお誘いが1回だけかの5つを確認してから送ります。
5つの確認は関数で行います。管理シートには、次の列を用意します。
列 | 種類 | 中身 |
|---|---|---|
候補者ID | 目印 | 第4部の管理シートと同じ番号 |
1通目の件名 | AIの答え | AIが書いた件名 |
1通目の本文 | AIの答え | AIが書いた本文 |
未確認の印の残り | 自動計算 | 未確認の印が残っている行に、関数で印を付けます |
文字数 | 自動計算 | 媒体の上限との差 |
文面の確認 | 自動計算 | 使わない言い回し、決まり文句とリンクの抜け、お誘いの回数を関数で確認した結果 |
送る本文 | 人の決定 | 人が承認した、または修正した最終版 |
送信日 | 実績 | 人が送信したあとに記録します |
返信日 | 実績 | 返信を受け取った日 |
2通目の送信日 | 実績 | 2通目を送信した日 |
返信があった回 | 実績 | 何回目の送信に返信があったか。返信を回ごとに集計するために記録します |
3通目の送信日 | 実績 | 3通目を送る場合に記録します |
再送の可否 | 人の決定 | 辞退や連絡不要の申し出、応募がないかを確認した結果 |
文面の変更記録 | 人の決定 | 件名や文面を変更した日と内容 |
人が本文を修正した場合は、送る最終版に対して5つの確認をもう一度行います。
6. 文面づくりでの進め方Aと進め方B
文面を書かせる指示文の保管と編集
文面を書かせる指示文(プロンプト)は、シートのタブや文書など、人が読みやすい形で1か所に保管し、AI関数やスキルからそれを参照する形をおすすめします。AI関数なら指示文を書いたセルを範囲として渡し、スキルなら指示文の文書を資料として登録します。指示文を関数の式やスキルの中に直接書き込むと、どこに何が書いてあるかを人が確かめにくくなります。1か所にまとめておけば、修正はそこだけで済み、メンテナンス性も一定担保できます。なお、指示文の編集は、人が直接書き換えるより、原則としてAIを経由して行うほうが安定します。編集の手順をまとめたスキルや編集用の指示文を別に用意しておけば、人が細かな要件を1つずつ直さなくても、決めたルールに沿ってAIが編集できるためです。
進め方A(スプレッドシートとGemini)
1件ずつ確かめながら進めたい場合。スプレッドシートのAI関数(セルの中からAIに頼む機能)と、Geminiのスキル(指示と資料を保存して繰り返し呼び出せる機能)を使います。会社のGoogle Workspaceのアカウントでスキルがまだ使えない場合は、同じ指示をGemsに保存して使います(第2部6章)。
文面づくりには、Geminiのスキルが向いています。必ず残す決まり文句、使わない言い回し、書き出しの書き方をスキルの指示に入れ、最新の求人票と会社の資料も登録します。候補者ごとに変わる魅力の伝え方、強み、希望と懸念への答えは、プロフィールと一緒に毎回渡します。
進め方B(Claude CodeとCodex)
件数が多く、手順の決まった作業をまとめて任せたい場合。Claude CodeやCodex(パソコン上のファイルやスプレッドシートの操作から資料の作成まで、手順ごとまとめて任せられるAIエージェント)を使います。
管理シートの対象の行を読み込み、文面を書かせてシートに書き戻すまでをまとめて処理します。書き戻す前に、5-2の5つの確認を機械的に通します。書き戻したあとは、材料にない事実が入っていないかを人が確認し、「送る本文」の列で承認してから送ります。
この章のまとめ
進め方A(スプレッドシートとGeminiで1件ずつ進める)では、Geminiのスキルに材料と書き出しの書き方を登録し、1件ずつ書かせます。進め方B(Claude CodeやCodexでまとめて処理する)では、全員分をまとめて書かせ、送る前の確認を処理の中に入れます。
7. スカウト成果の振り返り方
スカウトの成果は、全体・媒体別・ポジション別・媒体×ポジション別の4つの切り口で、送信数から選考への貢献までを並べて振り返ります。返信率は、期間内の返信数を同じ期間の送信数で割って求めます。
返信率の数え方と使う場面は、図6のとおりです。期間ごとの数え方では、月ごとに、その月に届いた返信の数をその月の送信数で割ります。前の期間の送信への返信も含むため、返信率が100%を超えることがあります。
図6 返信率の2つの数え方と使う場面

ふだんの振り返りは左の数え方で行い、施策の効果を確かめるときだけ右の数え方を使います。
振り返りでは、次の指標を4つの切り口ごとに並べます。媒体とポジションを組み合わせた切り口で比べると、全体の数字では埋もれる組み合わせごとの差が分かります。
指標 | 確認すること |
|---|---|
送信数 | 実際に送信した人数。管理シートの送信日の列から集計します |
既読率 | 送信した人数のうち既読になった割合。媒体が既読を記録している場合に確認します |
返信数 | 期間内に返信があった人数 |
有効返信数 | 返信があった人のうち、面談や面接に進みたいと返した人数。辞退や「今は検討していない」という返信は含めません |
返信率 | 期間内の返信数を、同じ期間の送信数で割った割合 |
有効返信率 | 期間内の有効返信数を、同じ期間の送信数で割った割合 |
選考への貢献 | スカウト経由で面談、応募、書類通過、内定へ進んだ人数 |
HRdevが支援の実績として示す返信率は、有効返信率です。媒体が公表する返信率は、辞退を含む返信全体を数えていることが多く、有効返信率とは定義が異なります。比べるときは、それぞれの数え方を確認してください。1章で示した5ポイント程度の改善幅は、媒体の平均と比べるために、媒体と同じ数え方で示しています。
件名や文面を変更したときは、変更した日と内容を管理シートの「文面の変更記録」に残し、その前後で、日数を区切った数え方(図6の右)で返信率を比べます。送ったばかりのスカウトを分母に含めると、返信が届く前の分だけ返信率が低く出るためです。施策が数字に影響したかどうかを、後から確かめることができます。
伝え方の改善を重ねても返信率が伸びなくなった場合は、図1の下の層に立ち返り、自社の魅力が候補者に届いているかを確認します。検索条件の見直し(第2部4章)と、採用や技術についての情報発信が、次の打ち手になります。
シリーズ「採用業務のAI活用」の構成
永井涼平
HRdev代表
レバレジーズ、クラウドワークス等を経て2021年にHRdev創業。18年以上エンジニア採用の最前線に立ち、ログラス・MFS・SALESCORE等の支援実績を持つ。
