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エンジニアの採用単価|計算方法と下げる前に見る工程

エンジニアの採用単価の計算の仕方を、外部に払う費用と社内の工数に分けて整理します。採用単価を下げたいときに、媒体の費用より先に見直す選考の歩留まりと、社内の運用にかかる工数の測り方を紹介します。

永井涼平HRdev代表

経営会議で「エンジニアの採用単価が高い」と指摘を受けて、媒体の契約を見直そうとする場面があります。ただ、採用単価は費用を採用人数で割った値なので、費用を削っても採用人数が減れば、単価は下がらないこともあります。

採用単価を正しく比べるには、何を費用に含めるかを先に決め、そのうえで、どの工程で費用がかさんでいるかを確認する必要があります。

この記事では、エンジニアの採用単価の計算の仕方と、下げたいときに先に見直す工程を紹介します。

採用単価はどう計算するのか

採用単価は、一定期間の採用にかかった費用を、その期間の採用人数で割って算出します。

採用単価 = 採用にかかった費用 ÷ 採用人数

費用を計上する期間と、採用人数を数える基準(内定承諾か入社か)は、比べる期間のあいだで統一しておきます。採用人数を入社で数える場合、年末に承諾した人の費用は今年に、入社は来年に計上されるため、期間の区切り方で値が上下します。

計算の式は単純ですが、「採用にかかった費用」に何を含めるかによって、算出される採用単価は大きく異なります。費用は、外部に払う費用と、社内でかかる費用の2つに分けて整理すると、抜け漏れを防げます。

区分

主な費用

把握の仕方

外部に払う費用

求人媒体・スカウト媒体の利用料、人材紹介の手数料、採用代行の委託費、採用広報の制作費、ツールの利用料

請求書から集計する

社内でかかる費用

人事のスカウト運用・日程調整・候補者対応の時間、面接官の面接と評価の時間

工数×人件費の単価で見積もる

社内の工数を含めるかを先に決める

外部に払う費用だけで採用単価を出すと、社内で運用している採用ほど安く見えます。スカウトを人事が自分で送っている場合、媒体の利用料は払っていても、送付の作業にかかる時間は費用に入っていないからです。

エンジニア採用では、面接官を務める現場のエンジニアの時間も無視できません。一次面接、評価の記入、面接官どうしの評価のすり合わせまで含めると、1人の候補者に現場のエンジニアが数時間を使うこともあります。たとえば面接官2人が1人の候補者に合計3時間を使い、面接官の人件費を仮に時給5,000円で置くと、候補者1人あたり1万5,000円になります。時給は、社内で使っている人件費の単価があればその値を使います。

社内の工数を含めるかどうかは、どちらが正しいということはありません。比較する期間や職種のあいだでは、費用に含める範囲を統一しておく必要があります。範囲が揃っていない数字を並べると、比較そのものが成り立たなくなります。

他社の平均と比べるときの注意

公開されている調査の数字と比べるときも、何を含めた数字なのかを確認しておく必要があります。

たとえばマイナビの中途採用状況調査2025年版では、2024年の中途採用費用の総額は1社あたり平均650.6万円、中途採用人数は平均20.8人でした。この調査は全職種を対象にした1社あたりの平均値で、職種別の採用単価を示したものではありません。総額を人数で割った値を、エンジニアの採用単価の目安として使うと、比較の前提がずれてしまいます。

他社の平均より、自社の過去の値や、職種ごとの値と比べるほうが、判断に使える数字になります。

採用単価を下げたいときに先に見る工程はどこか

媒体の費用から削ると、候補者に会える人数が減って採用人数も減り、単価が下がらないことがあります。

媒体の費用より先に、選考の各段階での歩留まり(次の段階に進んだ人の割合)を見直すと、費用の増えている箇所を特定できます。歩留まりが低い段階があると、その分だけ前の段階で多くの候補者を集める必要があり、費用が増えます。

  • 人材紹介会社の比率が高い:エージェント経由以外の採用経路の開拓が必要

  • スカウトの返信率が低い:送付数を増やす必要があり、運用の工数と媒体の費用が増える

  • 書類選考の通過率が低い:返信や応募があっても選考に進めず、集めた費用が採用につながらない

  • 最終面接の見送りや内定辞退が多い:選考の後半まで進んだ候補者を失い、それまでの面接の工数が回収できない

返信や書類選考の段階が安定している場合、選考の後半で候補者を失う3つ目が、採用単価を押し上げやすくなります。最終面接まで進んだ候補者には、それまでに一次面接、二次面接と現場の時間を使っているためです。ここで見送りや辞退が続くと、外部の費用は変わらなくても、社内の工数が採用につながらないまま積み上がります。

段階ごとの費用を並べて確認する

どの段階で費用がかさんでいるかは、段階ごとの人数と、その段階にかかる工数を並べると確認できます。たとえば、最終面接に進んだ人数に対して内定承諾が少ないなら、最終面接や内定後の対応を見直すほうが、媒体の費用を見直すより採用単価への効果が大きくなります。面接の段階ごとの役割の分け方は、一次面接と最終面接で確認することを分ける方法で整理しています。

逆に、選考の後半の歩留まりは安定していて、スカウトの返信率だけが低いなら、送付の対象の決め方や文面を見直す余地があります。返信率の考え方はスカウトの返信率の記事で、対象の選び方を中心に整理しています。

社内の運用にかかる工数をどう測るか

社内の工数は、厳密に測ろうとすると負担が大きくなります。採用単価を比べる目的であれば、1か月だけ、作業の種類ごとにかかった時間をおおまかに記録すれば足ります。

  • スカウトの対象の検索と送付

  • 返信への対応と面談・面接の日程調整

  • 面接と評価の記入(面接官ごと)

  • 内定後の条件の調整と入社までの連絡

記録してみると、日程調整や候補者への連絡に、想定より多くの時間を使っていることが分かる場合があります。こうした作業は、手順を決めて分担したり、ツールで自動化したりしやすい部分です。ツールを入れる場合も、ツールの利用料だけで比べず、記録した工数がどれだけ減ったかと合わせて比べます。

採用単価は、下げること自体を目的にすると、必要な採用まで止めてしまうことがあります。直近の半年分の費用を外部の費用と社内の工数に分けて表にし、段階ごとの人数と並べておくと、予算の相談のときに、たとえば「媒体の費用は維持し、内定後の対応に面接官の時間を回す」といった配分を、段階ごとの数字とあわせて示せます。

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永井涼平

HRdev代表

レバレジーズ、クラウドワークス等を経て2021年にHRdev創業。18年以上エンジニア採用の最前線に立ち、ログラス・MFS・SALESCORE等の支援実績を持つ。

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