KPIツリー

けーぴーあいつりー/KPI Tree

起点・背景(海外)
1914
更新
2026-09-16

一言でいうと

最終的な目標を算式で分解し、枝分かれの形に並べた図です。どの数字を動かせば目標に届くかを担当者の行動まで降ろすために使います。

提唱者と登場年

指標を分解して構造で扱う方法は、デュポン分析まで遡ります。英語版 Wikipedia は、この計算式が1914年に社内報告書として提出され、1920年代にデュポン社で使われたと記述しています。自己資本利益率を、利益率・資産回転率・財務レバレッジの3つの掛け算に分け、どの要素が結果を決めているかを特定する方法です。

Robert S. Kaplan と David P. Norton は、1992年に Harvard Business Review へ寄稿した「The Balanced Scorecard」で、指標を体系として整理しました。財務の結果指標だけでは経営の判断材料にならないとして、顧客・業務プロセス・学習と成長の観点を並べる枠組みを示しています。

上の2つは、指標を分解する考え方と、体系として扱う考え方の出所にあたります。KPIツリーは、この両方と共通する構造を持つ呼び方です。

何を解決するか

目標が担当者の行動につながりません。「今期の売上を1.5倍にする」という目標は、営業担当が明日から何を変えればよいかを示さないためです。

KPIツリーは、目標を構成要素へ分けます。売上を商談数・成約率・単価に分ければ、担当者はどれを動かすかを選ぶことができます。さらに商談数を、新規開拓由来の商談数と問い合わせ由来の商談数のように重複しない区分へ分ければ、日々の行動に届きます。

議論の対象を絞る役目もあります。未達の原因を全体の数字で話すと結論が出ませんが、どの枝が計画と乖離しているかを確認すれば、対処すべき場所が決まります。

実際の進み方

頂点に置く指標を1つ決めます。算式で分解する型では、足し算・引き算・掛け算・割り算によって必ず元の指標へ戻るようにします。「売上=商談数×成約率×単価」のように、計算として成立する分け方です。結果指標と先行指標の因果を整理する型もあり、その場合は各枝の関係を仮説として明記します。どちらの型でも、関係のありそうな指標を並べただけの図は、動かしても頂点が変わりません。

次に、各枝に担当を割り当てます。担当のいない枝は、図としては正しくても運用されません。

最後に、計測できるかを確かめます。定義が決まっていない指標、集計に人手を要する指標は、運用の途中で更新が止まります。

導入でよくある失敗

  • 元の指標へ戻らない分解をする。相関のある指標を並べただけでは、打ち手の効果を検証できません
  • 枝を増やしすぎて、月次で更新できない図になる
  • 指標の定義を部門ごとに変え、同じ名前の数字が2種類存在する状態にする

求人票にこの語がある場合に読み取れること

事業企画、経営企画、マーケティング、採用企画の求人で使われます。この語がある場合、担当者が自分で指標を設計し、未達の原因を分解して説明する役割を求められていると読み取れます。面接では、実際に作った分解と、その後どの数字が動いたかを確認してください。

隣接手法との違い

用語指すものKPIツリーとの違い
バランススコアカード財務以外の観点を含む指標の体系観点の枠組み。KPIツリーは計算の分解
OKR目標と、その達成を測る成果指標の組目標設定の作法。分解の構造とは別
ロジックツリー問題を論理的に分ける図論点の整理。KPIツリーは数式で戻る分解

出典