チャーンレート
(ちゃーんれーと/解約率/チャーン率/Churn Rate)
- 登場(海外)
- 1999年
- 更新
- 2026-09-02
一言でいうと
一定期間に失った顧客または収益の割合で、契約が続く前提の事業において新規に獲得した顧客がどれだけ残るかを裏側から示します。
提唱者と登場年
特定の提唱者はいません。語源はバターを作る撹拌機(churn)で、顧客が出入りし続ける様子をその動きになぞらえた表現です。
初出を示す一次資料はなく、上の1999年は、経営課題として扱われていた記録が確認できる時期を指します。同年の論文「Churn Reduction in the Wireless Industry」は、米国の携帯電話事業で月次の解約率が顧客基盤の2%から3%にあたり、1998年には解約によって業界全体で63億ドル近い損失が生じたと記しています。加入者を1件獲得する費用は平均400ドルだとも書いています。獲得の費用が大きいほど、解約の重みも増します。
Wikipediaは、通信・定額制メディア・SaaS・公益事業のような契約型の顧客基盤を持つ業界で広く使われるとしています。
何を解決するか
解決したいのは、新規獲得の数字だけでは事業の行き先が読めないことです。毎月同じ数の顧客を獲得していても、解約が同じ大きさなら顧客数は増えません。解約率は、獲得の努力がどれだけ残るかを決めます。
もうひとつは、LTVの継続期間がここから決まることです。平均的な継続期間は解約率から出るため、解約率を測れない事業では、獲得にかけてよい費用の上限も決められません。
前提として、解約の定義を決める必要があります。契約の終了日で数えるのか、支払いが止まった時点で数えるのかによって、同じ月でも値が変わります。
実際の進み方
まず顧客数の解約率と収益の解約率を分けます。小規模な顧客が多く抜けても収益への影響は小さく、逆に大口が1社抜けると顧客数はほとんど動かないまま収益が落ちます。
次に算式を決めます。Stripeは登録者の解約率を、期間中に解約した登録者数を、期首の登録者数と期間中の新規登録者数の合計で割る形で定義しています。分母に新規を含めるかどうかで値は変わるため、社内で1つに固定します。
そのうえで、既存顧客の増額を差し引いた純収益チャーンを見ます。増額が解約を上回れば値は負になり、新規の獲得がなくても収益が伸びます。顧客数の解約率が同じでも、この値が正か負かで事業の見え方は変わります。
導入でよくある失敗
- 顧客数の解約率だけを見る。大口の解約が数字に出ず、収益の減少に気づくのが遅れます
- 年次の値だけで判断する。月次で分けないと、特定の月に集中した解約を平均が覆い隠します
- 定義を決めないまま部署ごとに集計する。営業とプロダクトが別の数字を持ち、原因の議論が成立しません
求人票にこの語がある場合に読み取れること
獲得だけでなく定着を評価している組織だと読み取れます。カスタマーサクセスやプロダクトの求人で解約率の改善を任務に挙げている場合、その数字は経営でも追われていると読めます。
読み取れないのは水準です。解約率は顧客規模と契約期間で大きく変わり、他社の値と直接は比べられません。面接では、顧客数と収益のどちらで測っているか、純収益チャーンを見ているか、解約理由をどう集めているかを聞きます。
自社側では、改善を任せる前に定義と集計経路を整えておきます。数字が揺れる状態で採用すると、入社後の最初の数か月が集計の作り直しに費やされます。
隣接手法との違い
| 指標 | 中心にあるもの | チャーンレートとの違い |
|---|---|---|
| 継続率(リテンション) | 残った顧客や収益の割合 | 同じ現象の裏返し。収益ベースで見ると増額により100%を超えうる点が、純収益チャーンと対応する |
| 純収益チャーン | 解約と縮小から増額を差し引いた収益の変化 | 既存顧客の増額を含む。負の値になりうる |
| 更新率 | 契約更新の時点で更新された割合 | 更新のタイミングだけを見る。期中の解約は対象外 |
関連キーワード
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