粗利率
(あらりりつ/売上総利益率/Gross Margin)
- 国内で見られるように
- 1963年ごろ
- 更新
- 2026-09-24
一言でいうと
売上から売上原価を引いた利益(売上総利益)が、売上に占める割合です。
提唱者と登場年
特定の提唱者はいません。国内の財務諸表では、1963年に定められた財務諸表等規則(昭和38年大蔵省令第59号)が様式を定めています。同規則の第83条は、売上高から売上原価を控除した額を売上総利益金額として表示するよう求めています。粗利率は、この売上総利益を売上高で割って算出します。
英語版Wikipediaはgross marginを、売上から売上原価を引いた差を売上で割った割合と定義しています。原価には製造や仕入れの費用を含め、事務所の賃料や管理費のような間接的な固定費は含めないとしています。
何を解決するか
売上が伸びても、1件売るごとに原価が同じだけ増えるなら、事業に残る利益は増えません。粗利率は、売上1円あたりにどれだけの利益が残り、営業やマーケティング、開発へ回せるかを示します。
SaaSでは、同じ製品を多くの顧客へ提供できるため、粗利率が高くなりやすいとされています。Andreessen Horowitzは2020年の記事で、SaaSの粗利率の目安を60〜80%以上とし、AIを中心にした企業では50〜60%にとどまる例が多いと述べています。理由として、クラウド基盤の利用量が大きいことと、人手による継続的な対応が要ることを挙げています。
実際の進み方
まず、売上原価に含める費用を決めます。SaaSでは、サーバーやクラウドの利用料、外部サービスの利用料、導入支援やサポートの人件費を原価に入れるかどうかで、値が大きく異なります。
次に、製品や顧客の規模ごとに分けて計算します。導入支援の手間が大きい大口顧客と、手間のかからない小口顧客では、粗利率が別の水準になることがあります。
そのうえで、獲得費用の回収やLTVの計算に使います。獲得にかけた費用は、売上ではなく粗利から回収されるためです。
導入でよくある失敗
- サポートや導入支援の人件費を販管費に入れ、粗利率を高く見せる。他社と比べたときに実態との差が出ます
- クラウドの利用料の増加を追わない。利用者が増えるほど粗利率が下がる構造に気づくのが遅れます
- 全社平均だけで判断する。採算の合わない製品や顧客層が平均に隠れます
求人票にこの語がある場合に読み取れること
売上の成長だけでなく、利益の構造を改善する段階にある組織だと読み取れます。SREやインフラの求人で粗利率に触れている場合、クラウド費用の削減が役割の成果として扱われる可能性があります。カスタマーサクセスの求人では、1社あたりの対応工数の削減が求められることがあります。
面接では、原価に何を含めて計算しているかを聞いてください。同じ数字でも、算入範囲が違えば比べられません。
隣接手法との違い
| 指標 | 中心にあるもの | 粗利率との違い |
|---|---|---|
| 営業利益率 | 販管費まで差し引いた利益の割合 | 営業やマーケティングの費用も差し引く |
| EBITDA | 利払い・税・償却を差し引く前の利益 | 割合ではなく金額。販管費まで含む |
| ユニットエコノミクス | 顧客1件あたりの採算 | 粗利を獲得費用と比べて、1件ごとの採算を判断する |