ホリゾンタルSaaS

(ほりぞんたるさーす/Horizontal SaaS)

文書で確認(海外)
2022年
更新
2026-09-24

一言でいうと

会計、人事、営業管理、社内の連絡のように、業種を問わず共通する業務を対象にするSaaSです。

提唱者と登場年

業種を問わないソフトウェアという分類は、SaaSより前から存在します。英語版Wikipediaはhorizontal market softwareを、幅広い業界で使えるアプリケーションソフトウェアと定義し、文書作成、表計算、予定表、プロジェクト管理、汎用の会計ソフトを例に挙げています。対になるvertical market softwareは、特定の業界に向けて作られたソフトウェアです。

クラウドで提供される事業の分類としては、投資家の資料で業界特化型との対比に使われています。Bessemer Venture Partnersは2022年の「Ten lessons from a decade of vertical software investing」で、業界特化のソフトウェア企業を、業界を横断するhorizontal playersと比べて論じています。

何を解決するか

どの業界の企業にも、経費の精算、給与の計算、顧客情報の管理のように、業種を問わず似た形で発生する業務があります。企業ごとに個別のシステムを作ると、同じ機能を何度も作ることになります。

ホリゾンタルSaaSは、こうした共通の業務を1つの製品として作り、多くの業界の企業へ同じ形で提供します。対象となる企業の数が多く、1つの製品で大きな市場を扱えます。一方で、特定の業界に固有の手順には標準機能で応えにくく、設定や他の製品との連携で補うことになります。

実際の進み方

まず、対象とする業務を決めます。業界を問わず発生し、手順が企業間で大きく違わない業務ほど、1つの製品で扱える範囲が広がります。

次に、設定で吸収できる範囲を設計します。企業ごとの承認の流れや項目の違いを、個別の開発ではなく設定で扱えるようにします。

提供範囲を広げる段階では、同じ企業の隣接する業務へ機能を広げる方向と、他の製品との連携を増やす方向があります。顧客の規模に応じて、小規模の企業向けと大企業向けで売り方を分けることもあります。

導入でよくある失敗

  • 大口顧客の個別の要望を標準機能に取り込み続ける。設定項目が増え、他の顧客にとって使いにくくなります
  • 業界ごとの差を考慮しない。規制や商習慣の強い業界では、標準機能だけでは導入が進みません
  • 競合との機能の差だけで競う。対象が広い分野では同種の製品が多く、機能だけでは選ばれる理由になりません

求人票にこの語がある場合に読み取れること

多くの業界の顧客に同じ製品を届ける組織だと読み取れます。プロダクトマネージャーの求人では、特定の業界の業務知識よりも、多様な顧客の要望から共通の機能を切り出す経験が求められることがあります。

面接では、候補者が相手にしてきた顧客の業種の幅と規模を聞いてください。業界特化の製品の経験者は業務を深く理解している一方で、多業種の顧客に共通する設計の経験は別に確認する必要があります。

隣接手法との違い

用語指すものホリゾンタルSaaSとの違い
バーティカルSaaS特定の業界に固有の業務を扱うSaaS対象の絞り方が違う。ホリゾンタルは業界を横断する業務を扱う
業務パッケージ特定業務向けの既製システム提供形態を問わない。ホリゾンタルSaaSはクラウドで提供する
SI(受託開発)顧客ごとに個別に作るシステム一社向けに作る。ホリゾンタルSaaSは多くの企業に共通の製品

出典