顧客セグメント
(こきゃくせぐめんと/顧客区分/Customer Segment)
- 登場(海外)
- 1956年
- 更新
- 2026-09-16
一言でいうと
顧客を共通の性質でまとめた区分で、法人向けの事業では企業規模で分けることが多くなります。
提唱者と登場年
英語版 Wikipedia は、Wendell R. Smith が1956年の論文「Product Differentiation and Market Segmentation as Alternative Marketing Strategies」で市場細分化の概念をマーケティングの文献へ持ち込んだ最初の人物とされる、と記述しています。同時に、広告とブランド管理の実務では1920年代から暗黙に使われていた知識を成文化したものだとしています。
法人向けの事業では、企業規模・業種・所在地などの企業属性による区分と、利用頻度などの行動による区分があります。英語版 Wikipedia は前者をファーモグラフィクスと呼び、法人向け市場で広く使われる区分の取り方として挙げています。
国内で「中小企業」と言うときの基準は、中小企業基本法第2条が資本金と従業員数で業種ごとに定めています。国によって基準が違うため、海外企業の資料にある SMB と国内の中小企業は同じ範囲を指しません。
何を解決するか
全社を一律の売り方で扱うと、どの顧客にも合わない提案になります。契約金額の大きい企業は意思決定に関わる人数が多く、導入までの期間も長くなります。小規模な事業者は判断が速い代わりに、1件あたりの金額が小さくなります。
区分を決めると、提案の型、価格、導入の支援体制、必要な人員をそれぞれに合わせて設計できます。採用要件も、区分ごとに別のものになります。
実際の進み方
法人向けの SaaS では、エンタープライズ、ミッドマーケット、SMB の3区分がよく使われます。境界は各社が自社の実績から決めるもので、業界共通の定義はありません。従業員数で切る会社、契約金額で切る会社、その両方を使う会社があります。
区分を決めたら、区分ごとに商談の段階、想定の期間、担当の体制を分けます。その後、実績が溜まった時点で境界を見直します。実際の成約率と解約率が区分の境目で変わらないなら、区分の設計が実態と合っていません。
導入でよくある失敗
- 区分の定義を文書にせず、担当者ごとに違う基準で商談を分類する
- 海外の資料にある SMB の定義をそのまま国内の顧客に当てはめる
- 区分を決めた後に見直さず、実績と合わないまま運用を続ける
求人票にこの語がある場合に読み取れること
「エンタープライズ担当」と書かれた営業の求人は、関係者の多い商談や、期間の長い商談を扱う経験を求めていると読み取れます。期間と契約規模は製品と業界によって違うため、募集元に確認してください。SMB 向けの求人では、商談数をこなす進め方の経験が中心になります。同じ営業職でも必要な経験が異なるため、求人票では対象の区分と1件あたりの規模を確認してください。
隣接手法との違い
| 用語 | 指すもの | 顧客セグメントとの違い |
|---|---|---|
| ペルソナ設計 | 想定する個人の人物像 | 個人単位の像。顧客セグメントは集団の区分 |
| ターゲティング | 区分のなかからどこを狙うかの選択 | 選ぶ工程。セグメントは分ける工程 |
| ICP(理想の顧客像) | 自社が最も成功させられる顧客の条件 | 狙う対象の条件。区分そのものとは別 |