技術戦略

(ぎじゅつせんりゃく/Technology Strategy)

起点・背景(海外)
1983年
更新
2026-09-24

一言でいうと

事業の目標を実現するために、どの技術へ投資し、何を自社で作り、何を外部の製品やサービスに任せるかを決める方針です。

提唱者と登場年

特定の提唱者はいません。英語版Wikipediaは技術戦略を、組織における技術の利用についての目標、原則、方策をまとめた全体の計画と定義しています。企業では、事業戦略の中で技術をどう使うかを文書にまとめ、CTOやそれに相当する責任者が策定を主導することが多いとしています。

同じ項目は、国の単位で技術戦略が意識された例として、1983年に米国防情報局の計画として設けられたProject Socratesを挙げています。この計画は、米国の競争力を取り戻すための国家の技術戦略の方針づくりを目的としていました。

企業の判断の枠組みとしては、Martin Fowlerが2010年に、ソフトウェアを事業の差別化につながる領域と、確実に動けばよい領域に分けて考えるよう論じました。

何を解決するか

技術の選択を個々の開発チームの判断に任せると、同じ機能を複数のチームが別々の技術で作り、保守の負担が増えます。事業にとって重要な領域に十分な人と予算が回らず、重要でない領域に手間をかけることも起きます。

技術戦略は、事業の目標から逆算して、技術への投資の優先順位を決めます。差別化につながる領域は自社で作り込み、それ以外は外部の製品を使うという線引きを示すと、採用する人材の種類と人数も決まります。技術的負債にどこまで対応するかも、この方針の中で判断します。

実際の進み方

まず、事業の目標と、それを支える技術の現状を並べます。どの機能が事業の差別化につながっているか、どこに技術的な制約があるかを洗い出します。

次に、領域ごとに方針を決めます。自社で作る領域、外部の製品を使う領域、置き換える領域を分け、それぞれの理由を書き残します。

そのうえで、人員と予算の計画に反映します。自社で作る領域に必要な技術と人数を採用計画に書き、外部に任せる領域では契約と運用の体制を決めます。方針は時期を決めて見直し、事業の優先順位が変わったときにも見直します。

導入でよくある失敗

  • 使う技術の一覧だけを作り、事業の目標と結びつけない。なぜその技術なのかを説明できず、判断の基準として使われません
  • すべてを自社で作ろうとする。差別化につながらない領域に開発の人員を取られます。Fowlerは、差別化につながる領域は全体のごく一部にとどまると述べています
  • 方針を一度決めたまま見直さない。事業の優先順位が変わっても、古い方針に沿った投資が続きます

求人票にこの語がある場合に読み取れること

CTOやVPoE、テックリードの求人で「技術戦略の策定」が挙がっている場合、技術の選択を事業の判断と結びつける役割が想定されていると読み取れます。実装の力だけでなく、経営陣と投資の優先順位を議論する力が求められます。

面接では、候補者が過去に何を自社で作り、何を外部に任せると決めたか、その判断の根拠と結果を聞いてください。技術の選定に関わった経験と、事業の目標から投資の優先順位を決めた経験は区別して確認します。

隣接手法との違い

用語中心にあるもの技術戦略との違い
ソフトウェアアーキテクチャシステムの構造と設計の判断1つのシステムの作り方を決める。技術戦略は組織全体の投資の方針
技術選定個別の言語・製品・基盤の選択個々の選択。技術戦略はその選択の基準を示す
事業戦略どの市場でどう競うかの方針技術戦略は、事業戦略を実現するための技術の方針

出典