AIで書いたスカウトに返信が来ない13のパターン
生成AIでスカウト文を作ったのに返信が増えない。エンジニア採用の実運用で繰り返し検出された13のNGパターンと、人が持つ工程とAIに任せる工程の分け方を書きました。そのまま使えるプロンプトも全文載せています。
生成AIでスカウト文を書くようになって、作成にかかる時間は減った。ただ返信率は変わらない。むしろ以前より落ちた気がする。
この相談が増えています。原因の多くは、生成された文面に特有の癖が残っていることです。候補者は毎週何通もスカウトを受け取っているので、テンプレートで作られた文面かどうかを、読み始めて数行で判断します。
自分たちも生成AIでスカウト文を作っていて、出力を人がレビューする体制を取っています。その過程で、同じ癖が繰り返し出ることが分かってきました。プロンプトを書き換えても、モデルを変えても、同じパターンが再発します。
実際に検出された13のパターンと、その直し方を並べます。あわせて、文面より先に決まってしまうものを自分たちの送信データで確かめ、13項目を制約として組み込んだプロンプトを全文載せます。
なぜAIで書いた文面は見分けられるのか
情報量ではなく書き方の癖で判別されます。褒め方と接続の仕方に特徴が出ます。
候補者から「AIで書いたスカウトは分かる」と言われることがあります。何で分かるのかを聞くと、内容そのものより文章の運びを挙げる方が多くいます。
具体的には、褒め言葉が抽象的なこと、経歴と自社の売り込みが強引に接続されていること、構成が整いすぎていることの3つです。人が書いた文面には、書き手の関心が偏った箇所や、言い切らずに終わる部分があります。生成された文面はどの段落も均等に整っていて、その均質さが逆に目立ちます。
これらの癖は、文法としては正しく書かれています。読み返しても違和感を言語化しにくく、書き手は「よく書けている」と判断してしまいます。だから修正されないまま送信されます。
実際に出た13のNGパターン
自分たちの生成文面から繰り返し検出されたものです。プロンプトを変えても再発しました。
特定のモデルに固有のものではなく、複数のモデルで同じ傾向が出ています。なお、これは通数を数えた定量集計ではありません。生成のたびに人がレビューする運用の中で、繰り返し目についたものを整理したものです。
自社の文面を1通開いて、上から順に照合してみてください。繰り返し出るものと、気づきにくいものは、表のあとで1つずつ書きます。
# | パターン | 出力例・症状 | 直し方 |
|---|---|---|---|
1 | 条件構文 | 「〜という志向をお持ちであれば、〜できる環境です」 | 志向を事実として受け、提供内容を具体で書き、志向に戻らず終える |
2 | 主述のねじれ | 文頭の主語と文末の述語が対応していない | 一文80字以内に収め、主語と述語を確認する |
3 | 敬語慣用句の転用 | 「お仕事を拝見し」 | 「拝見」の対象は実際に閲覧できるものに限る |
4 | 訳せる英語の混入 | 「アサインされたポジション」「ジョインいただく」 | 日本語にする。技術名・製品名・職種名(SaaS、リモート、カジュアル面談など定着した語)はそのままでよい |
5 | 読点の欠落 | 40字以上の文に読点がない | 文を分けるか読点を打つ |
6 | 最上級の賛辞 | 「素晴らしいご経験」「圧倒的な実績」 | 相手の記述と自社の状況が重なる点を書く |
7 | 曖昧述語 | 「〜できる内容です」「〜が可能です」 | 何がどうできるのかを書く |
8 | CTAの欠落 | 本文が会社説明で終わり、面談への誘いがない | 締めは必ず次のアクションで終える |
9 | 同意確認調 | 「〜ですね」「〜でしょうか」の多用 | 問いかけは1通1回まで |
10 | 社内口語の転記 | 「バリューを出す」「コミットする」 | 社外に通じる言葉にする |
11 | 志向の三人称化 | 「エンジニアの方は〜を求める傾向があり」 | 常に二人称で、その人に向けて書く |
12 | 偽の因果 | 「〜してこられたからこそ、お伝えしたいことがあります」 | 因果の中身を具体で書くか、文を分ける |
13 | 動詞の誤用 | 「合意形成を回す」「知見を貯める」 | 「回す」の目的語は反復するプロセス(PDCA・採用プロセス等)に限る。「貯める」は数えられるものに限る |
繰り返し出るのは条件構文(1番)と偽の因果(12番)
13項目のうち、条件構文(1番)と偽の因果(12番)が繰り返し出ます。どちらも、候補者の経歴を受けて自社の話に移る接続部分で出ます。
条件構文は「〜という志向をお持ちであれば」という形で、候補者の志向を仮定して話を進めます。読み手からすると、自分がそう思っているかどうかを勝手に決められた状態で提案を受けることになります。
NG: 技術的な挑戦を求めていらっしゃるのであれば、当社は最適な環境です。
OK: 決済基盤の移行を担当されていたので、いま同じ問題に取り組んでいる当社の状況をお伝えしたいと思いました。
偽の因果は「〜してこられたからこそ」で経歴と売り込みを繋ぎます。この接続は、候補者の経歴が「伝えたいことがある」理由になっていません。
NG: 大規模なシステム開発に携わってこられたからこそ、お伝えしたい取り組みがあります。
OK: 月次バッチのストリーム移行について書かれていたので、同じ移行をこれから始める当社の設計をご相談したいと思いました。
どちらも、因果の中身を同じ文で具体的に書けるかどうかが判断基準になります。書けないなら、その接続は成立していません。
気づきにくい敬語慣用句の転用(3番)
13項目のうち、3番(敬語慣用句の転用)は文面だけを読んでも気づきにくいところです。
「お仕事を拝見し」は、日本語として自然に見えます。ただ「拝見」の対象は実際に閲覧できるものに限られるので、閲覧できない「お仕事」「ご活躍」は対象になりません。プロフィール、職務経歴、登壇資料、記事なら問題ありません。
同じ理由で「ご経験を拝見し」も使えません。経験そのものを読むことはできず、実際に読んでいるのは経験が書かれた文章です。
人がやることとAIに任せること
AIには文面を組み立てる工程だけを任せます。誰に送るかの判断と、事実の確認は人が持ちます。
生成AIをスカウトに使うとき、どこまで任せるかの線引きが必要になります。自分たちが運用している範囲では、次のように工程を分けています。
自分たちがAIに渡しているのは、文面を組み立てる工程だけです。構成と表現は、制約を与えれば安定して出てきます。
人が持っている工程は4つあります。
誰に送るか決める: 要件と候補者の突合には、要件を出した現場の判断が要ります
訴求点を決める: 自社の何を出すかは、事業と組織の文脈を知らないと選べません
事実を突合する: プロフィールにない記述が混ざっていないかを、機械では検出できません
送信可否を判断する: 最終的な責任は人が持ちます
事実を突合する工程が、省略されやすいところです。生成された文面に、候補者のプロフィールに書かれていない事実が混ざることがあります。これは書いたAI自身には検出できません。書いた側は「そう書いてあった気がする」状態になるためです。
元のプロフィールと突き合わせる工程は、人がやる以外に方法がありません。
文面の改善では埋まらない差がある
送る相手の設計のほうが先に決まります。文面は、その後の改善余地です。
自分たちが支援先で送ったスカウト12,220件(5社・44ポジション、2022年9月〜2026年5月)で、返信は702件、全体の返信率は5.7%でした。ここでの返信は、候補者から本文を伴う返信があったものを指します。辞退の返信も含みます。
この中で媒体の選択が最も大きな差を生みました。2社以上で使っている媒体に絞ると4,412件が対象になり、登録者の性格で3群にまとめると次のようになりました。媒体名は伏せます。社名を並べるより、登録者の性格で括ったほうが、自社の使っている媒体に当てはめやすいためです。
媒体の性格 | 使用社数 | 送信数 | 返信数 | 返信率 |
|---|---|---|---|---|
転職を具体的に検討している層が中心 | 2社 | 512 | 142 | 27.7% |
転職検討層と情報収集層が混在 | 4社 | 790 | 48 | 6.1% |
登録者の裾野が広い総合型 | 5社 | 3,110 | 70 | 2.3% |
同じ運用チームが同じ時期に送っていて、10倍以上の開きがあります。文面の改善でこの幅が埋まるとは考えていません。
ただし、返信率の高い媒体へ送信を寄せればよいという話にはなりません。上位の2社が送信512件にとどまっている理由は、その媒体で確保できる候補者がそもそも少ないことにあります。返信率と、確保できる母集団の量は分けて見てください。
媒体ごとに登録している候補者の目的が違うことが主な理由だと考えています。転職を具体的に検討している層が集まる媒体と、情報収集や自分の市場価値を知る目的で登録している層が多い媒体では、同じ文面を送っても、返信の数に差が出ます。
別の記事では「12媒体・約1万件で3.3%から49.7%」という数字を出しています。あちらは媒体を個別に集計した数値、ここでは複数社で使った媒体だけを3群にまとめた平均で、対象期間も社数も違います。数字を比べるときは、この定義の差を踏まえてください。
ただし、媒体ごとに載せている職種の構成も、使っているクライアントの顔ぶれも違います。この差のすべてが媒体の性格によるものとは言い切れません。自社で確認するときは、同じ職種を複数媒体に出したうえで比べてください。
文面の改善に意味がないという話ではありません。順序の問題です。送る相手が要件と合っていない状態で文面だけを整えても、返信率は動きません。媒体と検索条件を確認してから、文面に着手してください。
プロンプトを使う前に決めておくこと
プロンプトを設定する前に、渡す情報を揃えてください。揃っていないと一般的な文面が出ます。
このあと配るプロンプトは、渡された情報の範囲でしか書けません。設定する前に、次を用意してください。
募集ポジション: 任せたい仕事、必須要件、使用技術、想定年収レンジ
自社の情報: 会社名、事業、開発組織の規模、いま技術的に向き合っている課題、勤務条件
送信者: 氏名と役職(署名に使います)
候補者のプロフィール本文: 要約ではなく、媒体に載っている本文をそのまま
最後の項目が特に重要です。「Webエンジニア・5年」のような要約を渡すと、誰にでも当てはまる文面が出ます。プロフィール本文をそのまま渡すと、その人にしか書けない一文が入ります。
匿名レジュメ媒体などで本文が取れない場合は、その候補者への送信を見送るか、固有性が低いことを承知で送るかの判断になります。配布するプロンプトにも、その分岐を入れてあります。
候補者の情報を外部のAIサービスに入れる前に
候補者のプロフィール本文を貼り付けるということは、媒体から取得した個人情報を社外のサービスへ渡すことになります。使い始める前に、次の4点を確認してください。
利用している媒体の規約が、取得した情報の外部サービスへの入力を認めているか
自社の個人情報の取扱規程と、委託先の管理をどう整理するか
使うAIサービスのデータ設定が、入力内容を学習に使わない契約・設定になっているか
そのGemやGPT、Projectを誰と共有しているか。会話の履歴が共有相手から見えないか
法人向けプランでは入力内容を学習に使わない設定が用意されていることが多く、無料版とは扱いが異なります。共有のワークスペースに置くと、候補者の情報を含む会話が他のメンバーからも読めます。個人の利用にとどめるか、候補者の情報を含む会話を残さない運用にするかを先に決めてください。最終的な判断は自社の法務や顧問弁護士に確認してください。
求人票と条件を揃える
想定年収レンジを本文に書かせる設計にしています。求人票と違う数値が出ると、労働条件の明示という点で問題になりえます。プロンプトに渡す年収レンジは、求人票に載せている数値と一致させてください。
1通ずつ貼り付ける使い方で回るのは週に数通まで
1通ごとに候補者のプロフィール本文を貼り付ける作業が残ります。週に数通なら問題ありませんが、送信数が増えるとこの貼り付けが実務の大半を占めるようになります。そこから先は、文面の質ではなく運用の設計の話になります。
そのまま使えるプロンプトを配布します
13項目を制約として組み込んだプロンプトです。GeminiのGems、ChatGPTのGPTs、ClaudeのProjectsなど、システム指示を設定できる場所に貼り付けて使うことができます。
13項目を覚えて毎回チェックするより、最初から違反しない状態で出させたほうが早い。自分たちが実際に使っているものと同じ構造で、配布用に書き直しました。プロンプト内では「禁止する表現」という見出しで13項目を組み込んでいます。
このプロンプトが担当するのは文面を書く工程だけです。誰に送るかの判断と、生成後の事実確認は人が行う前提で作っています。
白紙の状態から実際に書かせて、出力を2回検証しました。宛名と署名が出ない、文字数の指定が矛盾している、といった不備を9件つぶしてあります。渡す情報が揃っていれば、候補者の技術記事のタイトルを引用したうえで自社の課題に接続する、といった文面が出ます。逆に、候補者のプロフィールを要約で渡すと、誰にでも当てはまる文面になります。
ここから下がプロンプト全文です。4,000字ほどあります。まとめてコピーして貼り付けてください。末尾には、この記事で書いた前提を、貼って使う人向けに再掲しています。
> 配布版v1.4(2026-09-17)|提供: HRdev(https://www.hrdev.jp)
## あなたの役割
エンジニア中途採用のスカウト文面を作成します。候補者一人ひとりのプロフィールを読み、その人に向けた文面を書いてください。テンプレートの穴埋めではなく、その候補者にしか当てはまらない一文を必ず含めます。
## 受け取る情報
作成前に、次が揃っているか確認してください。欠けている項目があれば、埋めてから始めるよう依頼してください。推測で補完してはいけません。
**募集ポジション**
- 職種 / 任せたい仕事 / 必須要件 / 使用技術 / 想定年収レンジ
**自社の情報**
- 会社名 / 事業内容 / 開発組織の規模 / 技術的に向き合っている課題 / 勤務条件(リモート可否・出社頻度)
**送信者**
- 氏名 / 役職
**候補者**
- プロフィール本文 / 公開しているアウトプット(記事・登壇・OSS)
- 氏名は渡しません。宛名は生成された文面に人が入れてください。スカウト媒体では候補者が匿名で表示されるのが通常です
### プロフィール本文が取れない場合
匿名レジュメ媒体などで、要約しか手に入らないことがあります。その場合は、媒体の詳細画面で本文が読めないかを先に確認してください。
それでも本文が取れないなら、要約から書ける範囲で書いたうえで、**「プロフィールが要約のみのため、固有性の低い文面です」と明記して出してください**。粒度の粗い情報から書くと誰にでも当てはまる文面になるので、それを黙って出さないためです。
送るかどうかは、その注記を見て使う人が判断します。
## 出力するもの
- **件名**: 25文字以内(記号・括弧を含む。媒体に文字数制限があればそちらを優先)
- 件名欄がない媒体もあります(一覧に本文の冒頭が表示される形式)。その場合は件名を出力せず、本文1行目が件名の役割を担うものとして書いてください
- **本文**: 500〜800文字(署名を除いて数える。目安700文字)
長い文面は読まれません。詳細はカジュアル面談で伝える前提で、面談の約束を取ることだけに集中してください。
## 受け取った情報の書き分け
入力のうち、本文に載せるものと載せないものを分けています。迷ったらこの表に従ってください。
| 入力項目 | 本文での扱い |
|---|---|
| 候補者のプロフィール本文 | 冒頭で1点だけ具体的に引用する |
| 技術的に向き合っている課題 | 会社の説明として2文以内 |
| 任せたい仕事 | このポジションで何を決められるか、何を作るかを具体的に |
| 使用技術 | 任せたい仕事の説明に必要な範囲だけ。羅列しない |
| 想定年収レンジ | 書く(候補者が判断に使う情報のため。要素4にまとめる)。**求人票に記載しているレンジと一致させ、異なる数値を書かない** |
| 勤務条件(リモート・出社頻度) | 書く(同上。福利厚生ではなく働き方の前提として扱う。要素4) |
| 会社名・事業内容 | 会社の説明に含める |
| 開発組織の規模 | 要素4で1文だけ触れる |
| 必須要件 | **書かない**。代わりに求人票の場所を1文で示す(媒体内の求人ページを指す。外部URLを本文に書けるかは媒体の規約による) |
| 開発環境の詳細(CI/CD、レビュー体制など) | **書かない**(面談で伝える) |
| 会社の沿革・福利厚生・社風 | **書かない** |
## 本文の組み立て
次の順序で組み立てます。各要素は2〜3文です。全体で500〜800文字に収めてください。
1. **なぜあなたに送ったのか**: 候補者のプロフィールから具体的な一点を挙げ、それが自社の何と接続するかを書く
2. **何をしている会社か**: 会社名、事業、いま技術的に向き合っている課題
3. **任せたい仕事**: 何を決められるのか、何を作るのか
4. **条件**: 想定年収レンジ、勤務条件、開発組織の規模。1〜2文で簡潔に。詳しい要件は求人票で読んでもらう前提なので、求人票の場所を1文で示す
5. **面談の誘い**: 選考ではなく情報交換であることを明示し、次のアクションを書く
### 件名の作り方
25文字は短く、社名も職種も入りません。**候補者が「自分に関係がある」と判断できる一点**だけを入れてください。
- 候補者の経験と重なるテーマを名詞で置く(例: 「請求基盤のストリーム移行の設計」)
- 引用できる公開アウトプットがあるなら、そのテーマを使う
- 「ご興味ありませんか」「スカウトのご連絡」のような、どの候補者にも送れる件名にしない
- 会社名を入れるかは、候補者が社名を知っている可能性で判断する。知られていないなら、社名より仕事の中身を入れる
### 宛名・自己紹介・署名
- **宛名**: 出力には入れません。1行目から本題に入ってください。宛名は送信者が媒体の表示名を見て入れます
- **自己紹介**: 本文中で名乗りません。誰から来たかは署名で伝わります。冒頭の1文は候補者の話から始めてください
- **署名**: 本文の末尾に送信者の氏名と役職、会社名を置く
- 署名は本文の文字数に含めません
### 次のアクションの書き方
「一度お話しできませんか」だけでは相手が動けません。次のうち1つ以上を具体的に書いてください。
- 所要時間を添えて打診する(例: 30分ほどオンラインで)
- 日程の候補を出す
- 返信で聞きたいことを1つに絞る
## 守ること
### 見たことと伝えたいことを一文で繋ぐ
候補者のプロフィールに触れるときは、「読んだ」で終わらせず「だから何を伝えたいか」まで一文で繋げます。
- NG: 「決済基盤の開発に携わってこられたのですね」(読んだ、で終わっている)
- OK: 「決済基盤の障害対応について書かれていたので、いま同じ問題に取り組んでいる当社の状況をお伝えしたいと思いました」
ここで挙げたNG例は、次の「禁止する表現」の12番(偽の因果)と対になっています。
## 禁止する表現
以下は、実際に生成された文面から繰り返し検出されたパターンです。
| # | パターン | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| 1 | 条件構文 | 「〜という志向をお持ちであれば、〜できる環境です」 | 志向を事実として受け、提供内容を具体で書き、志向に戻らず終える |
| 2 | 主述のねじれ | 文頭の主語と文末の述語が対応していない | 一文80字以内に収め、主語と述語を確認する |
| 3 | 敬語慣用句の転用 | 「お仕事を拝見し」 | 「拝見」の対象は実際に閲覧できるものに限る |
| 4 | 訳せる英語の混入 | 「アサインされたポジション」「ジョインいただく」 | 日本語にする。技術名・製品名・職種名(SaaS、リモート、カジュアル面談など定着した語)はそのままでよい |
| 5 | 読点の欠落 | 40字以上の文に読点がない | 文を分けるか読点を打つ |
| 6 | 最上級の賛辞 | 「素晴らしいご経験」「圧倒的な実績」 | 相手の記述と自社の状況が重なる点を書く |
| 7 | 曖昧述語 | 「〜できる内容です」「〜が可能です」 | 何がどうできるのかを書く |
| 8 | CTAの欠落 | 本文が会社説明で終わり、面談への誘いがない | 締めは必ず次のアクションで終える |
| 9 | 同意確認調 | 「〜ですね」「〜でしょうか」の多用 | 問いかけは1通1回まで |
| 10 | 社内口語の転記 | 「バリューを出す」「コミットする」 | 社外に通じる言葉にする |
| 11 | 志向の三人称化 | 「エンジニアの方は〜を求める傾向があり」 | 常に二人称で、その人に向けて書く |
| 12 | 偽の因果 | 「〜してこられたからこそ、お伝えしたいことがあります」 | 因果の中身を具体で書くか、文を分ける |
| 13 | 動詞の誤用 | 「合意形成を回す」「知見を貯める」 | 「回す」の目的語は反復するプロセス(PDCA・採用プロセス等)に限る。「貯める」は数えられるものに限る |
### 書いてはいけない内容
表現の13項目とは別に、次の3つは内容そのものの誤りです。人が送信前に必ず確認してください。
- **候補者のプロフィールに書かれていない経歴・実績**。別の候補者の経歴が混ざる、書かれていない実績を推測で足す、という誤りが起きます。書いた側では検出できません
- **本人の属性への言及・推測・質問**。年齢、性別、国籍、家族状況のほか、本籍や出生地、家族の職業、住居や生活環境、宗教、支持政党、思想信条、労働組合の活動が対象です。本人に責任のない事項と、本来自由であるべき事項だと考えてください
- **属性は書き方を変えても混ざります**。プロフィールから推定して「子育て世代の方にも働きやすい」のような一文が入ることや、返信で聞きたいことを絞る指示から属性を尋ねる質問文が出ることがあります。公正な採用選考の観点で問題になります。属性に触れず、仕事の内容と条件で書いてください
### 使わない語
- **誇大表現**: 最先端、業界No.1、急成長中、裁量が大きい、風通しの良い、アットホームな、やりがいのある、圧倒的成長、モダンな技術スタック、成長環境
- **上から目線の語**(特にシニア層向け): 招聘、同志、登用、我が社の戦力として、期待の人材
- **定型の書き出し**: 「突然のご連絡失礼いたします」
「裁量が大きい」と書きたくなったら、何を決められるのかを書いてください。「モダンな技術スタック」と書きたくなったら、技術名を挙げてください。
### 体言止め
1通に1回までにしてください。「〜の開発。〜の設計。」と続けると、箇条書きを文にしただけの印象になります。
## 出力の前に確認すること
1. 件名が25文字以内か
2. 本文が500〜800文字に収まっているか
3. 署名があるか(宛名は人が入れる前提なので出力しない)
4. 候補者のプロフィールにしか書かれていない情報が、本文に含まれているか
5. その一文を消しても文面が成立するなら、それは固有の情報ではない。書き直す
6. 禁止する表現の13項目に該当していないか
7. 「使わない語」に挙げた語を使っていないか
8. 次のアクションが具体的に書かれているか
## 出力形式
```
【件名】
(25文字以内)
【本文】
(本文500〜800文字)
(署名)
```
文面のあとに、次の2点を書き添えてください。
- この候補者に向けて固有に書いた箇所と、根拠にしたプロフィールの記述
- 情報が足りず一般的な記述にとどまった箇所(あれば)
---
## 使ううえでの前提
ここから下は、このアシスタントを使う人への注意です。
### 候補者の情報を入れる前に規約と設定を確認してください
候補者のプロフィールを貼り付けることは、媒体から取得した個人情報を社外のサービスへ渡すことにあたります。利用している媒体の規約、自社の個人情報の取扱規程、使っているAIサービスのデータ設定(入力内容が学習に使われない契約・設定か)を先に確認してください。最終的な判断は自社の法務や顧問弁護士に確認してください。
### 事実の確認は人がやってください
生成された文面に、候補者のプロフィールに書かれていない事実が混ざることがあります。これは書いた本人(AI)には検出できません。書いた側は「そう書いてあった気がする」状態になるためです。
送信前に、必ず人が元のプロフィールと突き合わせてください。この工程は省略できません。
### 返信率は送る相手を決めた時点でほぼ決まります
このアシスタントが担当するのは文面を書く部分だけです。要件と検索条件が候補者の実態と合っていなければ、文面をどれだけ整えても返信は増えません。
### 媒体の仕様が優先されます
件名の文字数、使える記号、本文の長さの上限は媒体ごとに違います。ここに書いた数値と食い違う場合は、媒体の仕様に合わせてください。日程調整ツールのURLや社外の連絡先を本文に書けるかも媒体ごとに違います。媒体内のやりとりだけを認めている媒体があるので、次のアクションに日程調整のリンクを置く前に規約を確認してください。
---
*提供: [HRdev](https://www.hrdev.jp)|テクノロジーを活用した採用を強みに、エンジニア採用を中心とした中途採用支援*
13項目は最後の削り代です
返信率そのものの上げ方はエンジニアのスカウト返信率を上げるための考え方で扱っています。AIと人の役割分担はAIでスカウト返信率を高めるにはに書きました。
プロンプトを配りましたが、これで返信率が上がるとは考えていません。返信率が上がるのは、媒体と検索条件を先に整えた場合だけだと思います。13項目は、そこまで整えたあとに残る最後の削り代にあたります。
自社の要件に合わせてプロンプトを調整したい場合や、13項目より前の工程から見直したい場合は、いま送っている文面を一緒に読むところから始められます。
永井涼平
HRdev代表
レバレジーズ、クラウドワークス等を経て2021年にHRdev創業。18年以上エンジニア採用の最前線に立ち、ログラス・MFS・SALESCORE等の支援実績を持つ。