UXデザイナー

(ゆーえっくすでざいなー/UX Designer)

起点・背景(海外)
1993年
更新
2026-09-24

一言でいうと

UXデザイナーは、利用者の行動と課題を調査し、製品やサービスを通じて利用者が目的を達成するまでの体験全体を設計する職種です。

この職種の出自と登場時期

ユーザー体験(User Experience)を職務の名称に掲げた例として、Don Normanが1993年にAppleに加わったときの肩書きがあります。Normanは自身のサイトで、Appleの使いやすさの評判を立て直すための新しい部署を提案し、その部署をThe User Experience Architect's Officeと名づけ、自身はApple's User Experience Architectを名乗ったと説明しています。同じ文章でNormanは、この名称を誰が考えたかは覚えておらず、部署の3人に等しく功績があると述べ、Brenda Laurelが1986年にuser experienceの語を使っていたことにも触れています。

NormanとJakob Nielsenが共同で設立したNielsen Norman Groupは、ユーザー体験を、利用者と企業・サービス・製品との関わりのすべての側面を含むものと定義しています。同社は、ユーザーインターフェースはその重要な一部だが同じではないこと、使いやすさ(ユーザビリティ)はユーザーインターフェースの品質の一つであることを説明しています。この定義が、画面の設計を担うUIデザイナーと、体験全体を扱うUXデザイナーを分ける根拠として使われています。

国内でも、Webサービスとスマートフォンのアプリの普及とともに、この職種名の募集が広がりました。事業会社では、UXとUIの両方を担当するプロダクトデザイナーの名称で募集する例もあります。

ミッション

UXデザイナーは、製品が利用者の実際の課題を解決し、利用者が目的を達成できる状態に責任を負います。画面の見た目ではなく、利用者がなぜその製品を使い、どこでつまずき、何を得るかが設計の対象です。

調査で得た事実を、プロダクトマネージャーやエンジニアが判断に使える形で示すことも役割に含まれます。

主な業務範囲

  • 利用者へのインタビューと行動観察による調査
  • 調査結果の分析と、利用者像や利用の流れ(カスタマージャーニー)の整理
  • 課題の定義と、解決策の案出し
  • 画面の遷移と情報の構造の設計
  • 試作品を使った利用者テストと、結果に基づく改善
  • 利用データの分析と、改善の効果の検証

求められる能力

技術面では、インタビューや利用者テストの設計と実施、調査結果の分析の手法が求められます。画面の遷移や情報の構造を図に表す力、Figmaなどで試作品を作る力、アクセス解析などの利用データを読む力も必要です。

非技術面では、利用者の言葉と行動の違いを読み取る観察の力と、調査の結果を関係者が納得できる根拠として説明する力が問われます。事業の目標と利用者の課題の両方を踏まえて、優先順位を提案する力も必要です。

この職種に就く人のキャリア経路

UIデザイナーやWebデザイナーから調査と設計の範囲を広げて移る経路、心理学や人間工学を学んで調査の職種から入る経路、Webディレクターから移る経路があります。

その後は、デザイン組織の責任者、プロダクトマネージャー、UXリサーチャー、サービスデザインの専門職へ進む経路があります。

隣接職種との違い

比較対象責任の範囲UXデザイナーとの違い
UIデザイナー画面の視覚表現と操作要素の設計画面の設計が中心。UXデザイナーは画面の外を含む体験全体を扱う
UXリサーチャー利用者の調査と分析調査が専門。UXデザイナーは調査の結果を設計に落とすところまで担当する
プロダクトマネージャープロダクトの方向と優先順位何を作るかの最終判断をする。UXデザイナーは利用者の視点から判断の材料と設計を示す
デザインエンジニアデザインと実装の両方画面を自分で実装する。UXデザイナーは実装の前段の体験の設計が中心

採用担当の見極めポイント

  • ポートフォリオでは、完成した画面より、調査から課題を定義し、設計を変えた過程を確認してください。過程を説明できない場合は、UIの設計が中心だった可能性があります
  • 調査の結果、当初の仮説が否定された経験を聞いてください。仮説を修正して設計を変えた経験を話せる場合は、調査を設計の判断に使ってきたと判断できます
  • 求人票には、UIの制作まで担当するのか、調査と体験の設計に専念するのかを明記してください。国内ではUIとUXを1人に任せる募集が多く、担当範囲を書かないと応募者との期待がずれます

求人・市場の傾向

UXデザイナーの募集は、自社サービスを持つ事業会社と、UXの支援を請け負う制作会社・コンサルティング会社に多く見られます。UXを専任で担当してきた経験者は、UIの制作を中心としてきたデザイナーより少なく、母集団は薄くなります。採用では、プロダクトデザイナーやUXリサーチャーの名称で活動している人も候補に含めて探す必要があります。

出典