採用実務
タレントプール
(たれんとぷーる/Talent Pool)
一言でいうと
今回は縁がなかった候補者を、次の募集で最初に声をかける相手として残しておく名簿です。
もう少し詳しく
エンジニア採用では、条件が合わずに見送った候補者が、半年後には最有力になることがあります。ポジションが変わった、本人の経験が積み上がった、給与の水準を見直したなど、状況は動きます。都度ゼロから探すより、蓄積した名簿から声をかけるほうが早く、精度も高くなります。
論点になるのは、何を根拠に保管し続けるかです。職業安定法第五条の五は、労働者の募集を行う者などが求職者等の個人情報を収集、保管、使用するにあたり、業務の目的の達成に必要な範囲内で、その目的を明らかにして行うことを求めています。保管の根拠は同意ではなく、募集の時点で示した利用目的のほうにあります。応募を受け付けた時点で示した目的が今回の選考に限られていれば、将来の募集案内に使う根拠になりません。募集時のプライバシーポリシーと利用目的に、以後の募集の案内に用いることを含めておく形が本筋で、本人の同意はそれを補完するものとして位置づけます。
名簿は放置すると価値を失います。連絡先と経歴だけを溜めても、なぜ見送ったのか、どんな話をしたのかが残っていなければ、次に接触する理由を作れません。
実務でどう使うか
利用目的の記載を先に整えたうえで、蓄積する範囲と保存期間を決めます。不要になったデータを消す手順まで含めて運用に載せてください。個別の文言は専門家に確認する前提で進めます。
新しいポジションが立ち上がったら、媒体を検索する前に名簿を見ます。一度接点のある相手は、初めて届くスカウトより反応が良くなります。
よくある失敗
- 応募時の利用目的が今回の選考に限られているのに、次の募集の案内に使う。目的の範囲を超えた利用になります
- 保存期間と削除の手順を決めないまま蓄積する
- 見送りの理由と面談の内容を残さない。再接触の判断材料がなくなり、名簿が連絡先の一覧に退化します
混同されやすい用語
| 用語 | 指すもの | この語との違い |
|---|---|---|
| 母集団形成 | 今回の募集に向けて候補者を集める活動 | プールは次回以降に使う蓄積 |
| ATS | 応募と選考を管理するシステム | 器と機能。プールは中身の考え方 |
| リファラル採用 | 社員の紹介で候補者を得る手法 | 経路の話。プールは蓄積の話 |
HRdevの現場から
見送った候補者の記録が残っている企業ほど、次の募集の立ち上がりが早くなります。理由まで残っていれば、要件を緩めた際に誰へ連絡すべきかがその場で判断できます。
関連キーワード
ATS / ダイレクトリクルーティング / 母集団形成 / 個人情報の取り扱い