採用代行の3つの型|RPO・AI-RPO・AIプロダクトの違いを解説
採用代行はRPO・AI-RPO・AIプロダクトの3つの型に分類できる。人とAIの役割分担の違い、各型が向いている企業の条件、採用体制の成熟度に応じた選び方を、HRdevの支援経験をもとに解説する。
「AI×採用」を掲げるサービスが急増しています。
しかし、同じ「AI活用」でも、人とAIの役割分担はサービスごとにまったく異なります。要件定義、媒体選定、候補者対応、面接設計など、採用業務のどこにAIを入れるかで、前提も導入効果も変わります。
採用代行サービスを前提に、AI活用を3つの型に分類し、それぞれの違いと、向いている企業の条件を解説します。
AI時代の採用代行はどのように分類できるのか
人とAIの役割分担によって、RPO型・AI-RPO型・AIプロダクト型の3つに分類できます。
項目 | RPO型 | AI-RPO型 | AIプロダクト型 |
|---|---|---|---|
概要 | 人が主体となる従来型のRPO(採用代行) | 採用ワークフローの一部・または複数をAIエージェント化 | 特定の業務をまるごとAIが実行 |
人:AIの比率 | 7:3(人が主) | 3:7(AIが主) | 1:9(実行は全自動) |
AIの役割 | 文面下書き、データ分析等の効率化 | ワークフロー単位でのAI化 | 特定業務をまるごと実行 |
人の役割 | 戦略設計、要件定義、候補者対応、最終判断 | 設計、品質監督、例外対応 | 初期設定のみ |
前提条件 | プロセス未確立でも機能 | プロセス確立済み | 社内に採用ノウハウあり |
この3つの型は優劣ではなく、企業の採用フェーズと前提条件によって最適解が変わるものです。
RPO型はどんな企業に向いているのか
RPO型が向いているのは、人の柔軟な対応が求められるケースです。エンジニア採用のノウハウや知見が社内に不足していたり、要件定義から候補者対応まで複数の業務に対して実行リソースが足りなかったりする状態で機能します。CTOやEMが採用を兼務していたり、一人人事が領域を問わず全部を担っていたりする企業が典型例です。
RPOにおけるAIの役割は、担当者の能力拡張になります。AIが代替するのは「作業」であり、「判断」ではありません。
HRdevの取り組みでも、スカウトではAI導入によりリストの精査時間が3分の1以下、文章の作成時間が10分の1以下に短縮されています。一方で人がレビューする工程を挟むことで、品質を維持しています。
AI-RPO型はどんな企業に向いているのか
AI-RPO型が向いているのは、採用プロセスがすでに確立され、それをスケールさせる必要があるフェーズの企業です。成果の出る進め方が固まっていて、同じ品質を保ったまま採用の量を増やしたい段階で機能します。
AI-RPO型は、すでに成果が出ている採用プロセスのうち、一部のワークフローを丸ごとAIエージェント化し、その設計・導入を行うモデルです。例えばスカウトであれば、「この条件の候補者にこの訴求が刺さる」というパターンが確立されていれば、AIがそのパターンを大量に実行できます。
HRdevがある急成長スタートアップを支援した際、複数ポジションで同時にミドル〜シニア層をダイレクトリクルーティングで採用するという案件がありました。メッセージの型やアトラクトの方針が定まった状態でのAI導入は極めてインパクトが大きく、人が判断や品質担保をするフローが非常にうまく機能しました。
導入する際に注意したいのは、プロセスの前提が変わったときの追従です。事業フェーズの変化、ピボット、技術スタック変更などが起きると、AI側のチューニングが追いつかず成果が落ちる可能性があります。
AI-RPO型は業務ワークフローの大部分をAIが担いますが、チューニングや品質の担保、構造化された情報の正確性のチェックは、現状では人間が担当することが多くなります。導入前に、こうしたメンテナンスを継続して回せる体制が社内にあるかを確認しておく必要があります。
AIプロダクト型はどんな企業に向いているのか
AIプロダクト型が向いているのは、基本的な業務フローは体制が組まれているものの、発生頻度が高い特定の業務を、一定の品質で再現性を持って進めたいという会社です。スカウト業務でいえば、「この条件の候補者に、この流れで」という型が具体的に固まっているケースです。
導入する際に重要な観点が、AI化する業務の発生頻度です。AIプロダクトが効果を発揮するのは、同じ判断が高い頻度で繰り返される業務です。導入時には、その頻度に見合った品質担保のサイクルがどう構築されているかを確認しておく必要があります。
あわせて、AIが最適化する「正解」を社内で定義できるかも問われます。定義が曖昧なままだと、適切なアプローチができないまま、AIの馬力で不要なアウトプットが量産されてしまいます。
実際には、AIプロダクトと呼ばれるサービスでも、AI-RPO型に近い形をとっているケースは少なくありません。AIが主体で動きつつ、プロダクト提供企業のカスタマーサクセスと自社の担当者がプロセスに入り、要所を人が押さえます。サービスのバランスとしては、これが良い形だと思います。
採用代行の3つの型をどう使い分ければよいのか
3つの型は、採用体制の成熟度によってフィットするものが変わります。
人による自律的な支援やノウハウの導入など、柔軟な支援が必要な段階では、人が主体のRPO型が向いています。型がない中で一部業務の部分最適を進めても、採用活動全体としてのパフォーマンスは想定通り上がらないことが多いと考えているからです。
AI-RPOやAIプロダクトなどを導入するうえで特に重要なのは、求める品質水準だと思っています。
例えば、品質の閾値が高く、運用のなかで柔軟に改善を重ねたい場合はより人の介在がAI-RPO型が向いています。一定の品質水準を担保できれば十分であれば、AIプロダクト型のほうが行動量と成果の面で最大化しやすい選択になり得るように思います。
どの型が合うかは、解決したい課題によって変わります。「AI×採用」を謳うサービスを比較する際には、まずその型を見極めましょう。
永井涼平
HRdev代表
レバレジーズ、クラウドワークス等を経て2021年にHRdev創業。18年以上エンジニア採用の最前線に立ち、ログラス・MFS・SALESCORE等の支援実績を持つ。
