UPDATE最終更新: 2026年5月13日

人事がいないスタートアップのエンジニア採用戦略|経営者が知るべき選択肢と判断基準

専任人事がいないスタートアップ経営者向けに、採用の実行者(経営者・人事専任・業務委託・RPO)とチャネル(リファラル・エージェント・採用媒体)をフェーズ別に整理。採用パートナーの選定基準も解説します。

こんにちは、HRdevの永井です。

「良い人を採りたいが、採用に割ける時間がない」「外部に頼みたいが、どこに何を頼めばいいかわからない」。シリーズA前後のスタートアップで、採用の責任を持つ経営者に向けて書きました。

HRdevはエンジニア採用に特化したRPO企業です。専任のエンジニア採用担当がいない中での立ち上げ・立て直しのプロジェクトを数多く担ってきました。その知見に基づいて、選択肢の整理と判断基準をご紹介します。

エンジニア採用市場の現実はどうなっているのか

求人を出して待つだけでは応募はほぼゼロ。企業から能動的にアプローチしなければ採用できない市場です。

HRdevが支援するスタートアップでも、この状態は変わりません。スカウト媒体の返信率は、エンジニア職の場合、採用レイヤーやブランディングの状況によって一概には言えませんが、総合型(ビズリーチ、Green等)で1〜10%程度、エンジニア特化型(Findy・LAPRAS・転職ドラフト等)で10〜25%程度。知名度や採用広報の整備状況によって、同じ企業でも返信率に2倍以上の差がつきます。特に年収800万円以上のシニア層と、AIネイティブな若手層の獲得競争は激しくなっています。

誰がやるのか、どのチャネルを使うのか

エンジニア採用の意思決定は「誰が採用業務を担うか(実行者)」と「どのチャネルで候補者にリーチするか」の2軸で整理できます。

実行者の選択肢

実行者

向いているケース

特徴

経営者(CTO/CEO)

年間4名以下

技術的な目利きができるが、経営者の時間が原資になる

人事専任(採用担当を雇用)

年間5名以上・採用を内製化したい

立ち上がりに時間がかかるが、長期的にはノウハウが社内に蓄積される

業務委託(フリーランス人事・副業)

特定業務の切り出し・作業者がいる環境での知見取得

社内に業務執行のオーナーがいないと良い形でワークしないことがある

RPO(採用代行)

採用知見・リソース面に課題がある場合の選択肢

設計から運用まで一括で委託できる。強いフェーズが会社ごとに大きく異なる

チャネルの選択肢

チャネル

一人あたりコスト

特徴

リファラル

ほぼゼロ

最もコストが低く、カルチャーフィットも見えやすい。ただし母集団の規模に限界がある

エージェント(人材紹介)

年収の30〜40%。ポジションによってはそれ以上も普通にある

ハイレイヤー・転職顕在層に強い。採用工数は少ないがコストは高い

採用媒体(ダイレクトリクルーティング)

利用媒体によって大きく異なる

母集団形成に強いが、スカウト文面の設計や日常の運用が必須

実行者とチャネルは独立した選択です。たとえばRPOを導入しても、チャネルとしてエージェントや採用媒体を併用するのが一般的です。RPOの対価はあくまで採用業務の設計・運用にかかる人件費の代替であり、媒体費やエージェント手数料は別途発生します。

スタートアップのフェーズ別の体制例

企業の成長フェーズによって、どのような採用体制を取るかは大きく分かれます。主に、採用人数と資金調達ラウンドが相関することが多く、下記のようになる傾向があります。

シード〜プレシリーズA(年間4名以下)

CTOや役職者のリファラルが中心のフェーズです。採用人数が少ないため、RPOの固定費は割高になりやすい傾向があります。ハイレイヤーの採用にはエージェントを併用します。技術的な目利きができるのはCTOや経営者だけなので、ここだけは直接関わるしかありません。

シリーズA〜B(年間5〜10名)

RPO+エージェント併用が適するフェーズです。RPOで母集団形成・スカウト運用・プロセス管理を委託し、CTOは技術面接とクロージングに集中します。ハイレイヤーポジションはエージェントを併用します。

シリーズB以降(年間11名以上)

専任の採用担当者を置き、社内に採用機能を構築するフェーズです。RPOは立ち上げ支援や特定領域(スカウト運用等)の部分委託として活用します。

採用体制をどう強化していくか

最適な体制は自社のフェーズによって変わります。例えば、知見が十分蓄積されていない段階で、候補者対応やスカウト運用だけに特化したパートナーを選んでも、部分最適しかできず、採用全体の底上げにはつながりません。まずは自社の現状を把握し、そこから選択肢を絞り込むのが近道です。

採用体制を見直すべき5つのサイン

以下の5つの問いに3つ以上「いいえ」なら、自社採用・RPO・業務委託など採用体制の強化を検討するタイミングです。

#

チェック項目

あなたの回答

1

人事が現場のエンジニアと日常的に対話できているか

はい / いいえ

2

パイプラインのどこにボトルネックがあるか言語化できているか

はい / いいえ

3

会社情報・求人情報・スカウト・エージェント連携の一連のフローが設計できているか

はい / いいえ

4

採用のPDCAを月次で回しているか

はい / いいえ

5

採用チームの工数は足りているか

はい / いいえ

特に2と3が「いいえ」なら、課題の整理とフロー設計から見直すだけで改善する可能性もあります。

パートナー選定で見るべき4つのポイント

スピード感が求められる中で採用体制を強化するには、自社採用だけでなくRPOや業務委託といった外部パートナーの活用も選択肢に入ります。その際に確認しておきたいチェックポイントをまとめました。

1. エンジニア採用の全体感を持っているか

エンジニア採用全体——市場の温度感、媒体ごとの特性、選考プロセスの設計、候補者体験の作り方——を俯瞰した上で、今の自社に必要な打ち手を提案できるかどうかが重要です。スカウト運用だけに長けたパートナーでは、採用戦略全体の底上げにはつながりません。

2. 今ある課題に対して仮説を立てられるか

初回の打ち合わせで「御社の課題は何ですか」と聞いてくるだけのパートナーには注意が必要です。こちらが提供した情報をもとに「ここがボトルネックではないか」「この打ち手から試したい」と仮説を提示できるかどうかで、実力の差が見えます。課題を聞くだけでなく、構造化して返してくれるパートナーを選んでください。

3. 自律的に動いてくれそうか

RPOに期待したいのは、指示を待つだけの実行部隊ではなく、自ら情報を取りに行く動きです。エンジニアリングマネージャーやテックリードと信頼関係をつくり、現場のリアルな技術課題やチームの雰囲気を理解した上で採用活動に反映する。こうした自律的な動きができるかどうかは、成果に大きく影響します。

4. 撤退時の内製化支援が期待できるか

RPOを外した後も採用活動が回るかどうかは、見落としがちなポイントです。ソフトウェアが事業の中心にある成長企業にとって、採用機能の内製化はいずれ向き合うテーマになります。撤退時に知見やプロセスをクライアント側に移管する設計があるかどうか、確認しておくことをおすすめします。

まず何から始めればいいのか

2つのステップで現状を整理できます。

ステップ1. 採用計画を確認する

今年何人採用するのか、それは来年以降も継続的に必要なのか。この2点を明確にするだけで、実行者とチャネルの選択肢が絞り込めます。

ステップ2. 採用オーナーと5つの質問を確認する

現在の採用オーナー(経営者自身かもしれません)と対話し、先述の「採用体制を見直すべき5つのサイン」を一つずつ確認してみてください(再掲)。

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チェック項目

あなたの回答

1

人事が現場のエンジニアと日常的に対話できているか

はい / いいえ

2

パイプラインのどこにボトルネックがあるか言語化できているか

はい / いいえ

3

会社情報・求人情報・スカウト・エージェント連携の一連のフローが設計できているか

はい / いいえ

4

採用のPDCAを月次で回しているか

はい / いいえ

5

採用チームの工数は足りているか

はい / いいえ

3つ以上「いいえ」なら、採用体制の強化を検討する段階です。

もし判断に迷ったり、自社の状況を壁打ちしたいということがあれば、お気軽にご相談ください。

永井涼平

HRdev代表

レバレジーズ、クラウドワークス等を経て2021年にHRdev創業。18年以上エンジニア採用の最前線に立ち、ログラス・MFS・SALESCORE等の支援実績を持つ。

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