職種・体制
インフラエンジニア
(いんふらえんじにあ/Infrastructure Engineer)
- 登場(海外)
- 1987年
- 国内で見られるように
- 2013年ごろ
- 更新
- 2026-08-24
一言でいうと
サーバ・ネットワーク・ストレージ・クラウドといった、アプリケーションが動くための土台を設計し、構築し、動かし続ける職種です。
この職種の出自と登場時期
系譜の起点はシステム管理者(system administrator)です。USENIX の LISA は、1987年4月にフィラデルフィアで Large Installation System Administrator's Workshop として開かれたのが最初で、大規模環境の管理を担当する専門職が集まる場として35年続きました。この時期にはすでに、サーバとネットワークを職務として担当する専門職が確立していたことが分かります。
日本語の「インフラエンジニア」という呼称が広く定着したのは2010年代です。2013年11月に佐野裕『インフラエンジニアの教科書』が刊行され、サーバ・OS・ネットワーク・ストレージ・データセンター・大規模インフラという構成で職務の全体像を示しました。同書は国立国会図書館にも所蔵されています。
その後、クラウドの普及で仕事の中身は大きく変わりました。物理機器の調達と設置が中心だった時期から、クラウド上の構成をコードで管理する時期へ移り、現在の求人票では AWS・Google Cloud・Azure の設計経験と IaC が要件の中心に置かれます。SRE・DevOpsエンジニア・Platform Engineer は、いずれもこの職種から分岐した、あるいは重なる領域を担当する呼称です。
ミッション
責任の中心は、システムが動き続けることと、その基盤を必要な性能とコストで用意することです。可用性を上げれば費用が増え、費用を抑えれば冗長性が落ちるため、どこで折り合いをつけるかの判断そのものが仕事に含まれます。
障害時には復旧の最前線に立ちます。検知から復旧までの時間、再発防止の設計が成果として見られる場面が多くなります。
主な業務範囲
- インフラの設計。可用性・性能・コスト・セキュリティの要件から構成を決める
- 構築と移行。クラウド環境の構築、オンプレミスからの移行、ミドルウェアの導入と設定を担当する
- 監視と運用。監視項目の設計、アラートの整備、バックアップとリストアの手順づくりを行う
- 障害対応。一次対応から原因分析、恒久対策までを担当する
- コスト管理。クラウド利用料の内訳を把握し、構成の見直しで削減する
求められる能力
技術面では、Linux と TCP/IPを中心としたネットワークが出発点になります。加えて、DNS、ロードバランサ、データベースの運用を扱います。クラウドでは、IAM設計・VPC設計・マネージドサービスの選定が中心で、Terraform などの IaC を扱える人材の需要が高い状態が続いています。
非技術面では、影響範囲を見積もる慎重さと、障害時に手順どおり動ける落ち着きが重く見られます。作業手順書とドキュメントを残す習慣も、引き継ぎと監査の両面で必要になります。
この職種に就く人のキャリア経路
入口はSIer・データセンター・情報システム部門・MSP(運用受託)が多くを占めます。運用監視から始めて構築へ進む流れが一般的で、未経験からの参入経路が用意されている数少ないエンジニア職でもあります。
この先は、クラウドアーキテクト、SRE、Platform Engineer、セキュリティエンジニア、情報システム部門の責任者へ広がります。近年は事業会社への転職でSREへ呼称が変わる例が目立ちます。
隣接職種との違い
| 職種 | 責任の中心 | インフラエンジニアとの違い |
|---|---|---|
| SRE | 可用性の数値目標を決めて信頼性を担保する | SLOという指標と、運用作業をコードで減らす前提を持つ。インフラエンジニアは構築と運用そのものが業務範囲 |
| DevOpsエンジニア | 開発と運用の分断を仕組みで埋める | 開発工程まで踏み込む。インフラエンジニアはインフラ層で完結する場合が多い |
| Platform Engineer | 開発者向けプラットフォームの提供 | 利用者が社内の開発者で、成果は開発速度。インフラエンジニアの利用者はサービスそのもの |
| ネットワークエンジニア | ネットワーク機器と経路設計 | 領域がネットワークに特化。インフラエンジニアはサーバとミドルウェアまで含む |
採用担当の見極めポイント
- 求人票では、オンプレミスとクラウドのどちらが対象環境の中心かを明記してください。同じインフラエンジニアでも必要な経験が異なり、書かないと応募が分散します
- 経歴書では、構築した規模と、運用でどこまで責任を持ったかを確認してください。手順書どおりの作業だったのか、設計から関わったのかで再現できる成果が変わります
- 運用監視の経験だけで応募してくる層と、設計から担当してきた層が同じ職種名で混在します。書類段階で見分ける基準を、募集前に決めておく必要があります
求人・市場の傾向
母集団は他の職種と比べて厚い部類で、未経験に近い層から大規模基盤の設計者まで幅があります。そのぶん求人票の書き方で応募者の層が大きく変わるため、要件の下限を明示することが選考効率に直結します。なお実際の件数は媒体ごとの職種カテゴリの定義で変わるので、自社が使う媒体の検索結果で確認してください。
事業会社では同じ業務をSREとして募集する例が増えており、候補者側もSREを希望する傾向があります。呼称を変えずに募集する場合は、業務内容で違いを説明しておくと、候補者が応募先を比較する際の判断材料になります。
関連キーワード
Linux / ネットワーク / AWS / Google Cloud / Terraform / 監視 / 冗長化 / データセンター / クラウド移行