職種・体制
ネットワークエンジニア
(ねっとわーくえんじにあ/Network Engineer)
- 登場(海外)
- 1993年
- 国内で見られるように
- 1994年ごろ
- 更新
- 2026-08-24
一言でいうと
拠点間やクラウドとの通信の経路を設計し、構築して運用する職種で、必要な速度と可用性で通信を通し続けることを担当します。
この職種の出自と登場時期
企業ネットワークの構築が専門職として確立したのは1990年代です。1993年9月に Cisco が CCIE を発表し、ルーティングとスイッチングの技能を測る共通の基準ができました。これによって、機器を扱う技能が個社の経験ではなく市場で通用する資格として扱われるようになります。
国内でも同じ時期に区分が立ちました。1993年にオンライン情報処理技術者試験が分割され、ネットワークスペシャリスト試験が新設されて1994年から実施されています。試験区分の名称はその後テクニカルエンジニア(ネットワーク)を経て2009年に元へ戻りましたが、通信の設計と運用を独立した専門職として扱う枠組みは、この時点で定まりました。
その後、仕事の中身は大きく変わりました。物理機器の設定が中心だった時期から、クラウドの仮想ネットワーク(VPC・専用線接続・SD-WAN)を設計する時期へ移り、現在の求人票ではクラウド側の設計経験を求める例が増えています。境界防御を前提としないゼロトラストの設計も、この職種の担当範囲に入ってきました。
ミッション
この職種が背負うのは、通信が止まらないことと、必要な帯域と応答速度が出ていることです。設計時の想定だけでなく、拠点の増減やトラフィックの変化に追従できる構成であるかまでが評価の対象になります。
障害時には切り分けの起点になります。アプリケーションの問題か経路の問題かを判断できる立場にいるため、原因究明の速さがそのまま復旧時間に直結します。
主な業務範囲
- ネットワーク設計。拠点構成、帯域、冗長化、IPアドレス設計、経路制御を決める
- 構築と移行。機器の設定、クラウドとの接続、既存環境からの切り替えを担当する
- 監視と運用。トラフィックと機器の状態を監視し、しきい値と通知を設計する
- 障害対応。経路のどこで問題が起きているかを切り分け、復旧させる
- セキュリティ要件の実装。ファイアウォール、VPN、アクセス制御を構成に組み込む
求められる能力
前提になるのは、TCP/IP、ルーティングプロトコル、スイッチング、DNS、負荷分散の理解です。加えて、クラウドの仮想ネットワーク設計と、設定をコードで管理する手法の経験を求める求人が増えました。
見られるのは、影響範囲を見積もる慎重さです。ネットワークの変更は広範囲に波及し、切り戻しが難しい場面もあります。作業手順書を書き、想定外の挙動を事前に洗い出す習慣が実務の質を決めます。
この職種に就く人のキャリア経路
入口はSIer・通信事業者・データセンター・情報システム部門が多くを占めます。運用監視から始めて構築、設計へ進む流れが一般的で、資格が評価に結びつきやすい職種でもあります。
担当を広げてインフラエンジニアやクラウドアーキテクトになる例が代表的です。セキュリティエンジニアへ移る人、通信基盤の責任者に就く人もいます。
隣接職種との違い
| 職種 | 責任の中心 | ネットワークエンジニアとの違い |
|---|---|---|
| インフラエンジニア | サーバ・ミドルウェアを含む基盤全般 | 範囲が広い。ネットワークエンジニアは通信経路に特化する |
| SRE | 可用性の数値目標を決めて信頼性を担保する | 対象がサービスの稼働品質。ネットワークエンジニアは経路そのものを担当する |
| セキュリティエンジニア | 情報資産を攻撃と事故から守る | 守ることが目的。ネットワークエンジニアは通すことが目的で、制御は手段 |
| Corporate Security Engineer | 社内の端末・ネットワーク・SaaS環境の安全性 | 社内環境の統制が対象。ネットワークエンジニアは通信品質と構成が対象 |
採用担当の見極めポイント
- 求人票では、オンプレミス機器とクラウドのどちらが中心かを明記してください。必要な経験が大きく異なり、書かないと応募が分散します
- 職務経歴書を見るときは、設計から担当したかを確認してください。手順書に沿った設定作業と、要件から構成を決めた経験では、任せられる範囲が変わります
- 資格の有無だけで判断しないでください。クラウド側の設計経験は資格に表れにくく、実務の記述で見る必要があります
求人・市場の傾向
母集団は厚い一方で、クラウドの仮想ネットワークまで設計できる候補者は限られます。クラウド設計まで条件に入れると件数は一気に落ちます。条件を分けて数えてください。
事業会社では、この職種を単独で募集せずインフラエンジニアに含める例が増えています。単独で募集する場合は、担当する規模と構成を具体的に書いてください。抽象的な記述では、経験のある候補者ほど応募を見送ります。
関連キーワード
TCP/IP / ルーティング / VPN / SD-WAN / ゼロトラスト / CCNA / ネットワークスペシャリスト / 冗長化