Fit&Gap分析
(ふぃっとあんどぎゃっぷぶんせき/フィットアンドギャップ分析/Fit and Gap Analysis)
- 起点・背景(海外)
- 1990年
- 更新
- 2026-09-16
一言でいうと
既製のシステムの標準機能と自社の業務要件を突き合わせ、合う部分と合わない部分を洗い出す作業です。
提唱者と登場年
もとになる考え方は、現状と目標の差を比較するギャップ分析です。英語版 Wikipedia は、これを実際の成果と目指す成果を比較する経営手法として説明しています。Fit&Gap は、業務システムのパッケージ導入で使われる呼称です。英語版 Wikipedia は ERP という語が1990年に Gartner Group によって使われたとしており、自社開発ではなく既製品を業務に合わせる導入形態が広まった時期と重なります。1990年は ERP という呼称が文書に現れた年です。Fit&Gap は、この既製品を業務に合わせる導入形態で使われる呼び方です。
何を解決するか
既製品を入れる判断には、機能一覧の比較だけでは足りません。一覧の上では「機能あり」でも、自社の業務手順とは前提が違うことがあるためです。差がどこにあるかを洗い出さないと、導入後に業務が回らない事態が起こります。
洗い出した差は、3つのどれかで処理します。業務の側を標準機能に合わせる、追加開発で機能を足す、別の製品や運用で補う。この判断を導入前に済ませるために、この作業を行います。
実際の進み方
先に自社の業務要件を文書にします。要件が固まっていない状態で製品のデモを見ると、機能の印象だけで評価が進みます。
次に、要件の一つずつに対して標準機能で満たせるかを判定します。満たせるものを Fit、満たせないものを Gap として記録し、Gap には業務上の重要度を付けます。
最後に Gap の処理方針を決めます。追加開発の費用・納期・製品更新時の保守負担と、業務を変更した場合の影響を並べて比較します。法令や内部統制で業務を変えられない場合、競争力の源泉になっている業務の場合は、追加開発や別の運用を選ぶことになります。
導入でよくある失敗
- 要件を固めずに製品を選び、選定後にこの作業を始める
- Gap に重要度を付けず、すべてを追加開発の対象にする
- 現行システムの画面や帳票をそのまま再現することを要件にする
求人票にこの語がある場合に読み取れること
ERP や業務パッケージの導入を扱う求人で使われます。この語がある場合、自社開発ではなく既製品を業務へ適合させる進め方が中心だと読み取れます。応募者の経歴では、Gap の処理方針を誰が決めていたかを確認してください。判定表を作る作業と、業務を変える判断をする作業は別のものです。
隣接手法との違い
| 用語 | 指すもの | Fit&Gap分析との違い |
|---|---|---|
| 要件定義 | 満たすべき条件を決める工程 | 条件を決める側。Fit&Gap は既製品との差を測る |
| PoC | 実現できるかを小さく試す活動 | 実現性の検証。Fit&Gap は機能の適合の確認 |
| BPR | 業務そのものを設計し直す取り組み | 業務の再設計。Fit&Gap は差の洗い出しにとどまる |