事業開発

(じぎょうかいはつ/BizDev/Business Development)

文書で確認(海外)
2012年
更新
2026-08-31

一言でいうと

既存の営業では届かない売上のつくり方を、提携や新規事業として形にする職種で、相手を探す段階から契約と立ち上げまでを担当します。

この職種の出自と登場時期

職務としての輪郭は、米国のテック企業で先に固まりました。製品を売る営業とは別に、他社との組み合わせで市場をつくる担当を置く形が広がった一方、定義そのものは長く曖昧なままでした。整理したのがScott Pollackです。2012年にForbesへ寄稿した記事(のちに同名の書籍にまとめられています)で、この職務を「自社にとっての長期的な価値を、顧客・市場・関係からつくること」と定義しました。単発の受注ではなく、継続する仕組みを残す点が営業との分かれ目です。

定義が広いため、実態は会社ごとに大きく異なります。新規顧客の開拓を指す会社もあれば、資本業務提携やM&Aの手前を指す会社もあり、新規事業の立ち上げそのものを指す会社もあります。求人票でこの語を見たときは、必ず業務内容の記述まで読む必要があります。

国内では事業開発と事業企画が近い意味で使われ、BizDevの表記も定着しています。スタートアップでは、既存プロダクトの売上を伸ばす役割と、次の柱を探す役割の両方にこの呼称が使われます。

ミッション

責任範囲は、いまの営業体制の延長線上にない売上をつくることです。担当した案件数ではなく、成立した提携や事業が継続して数字を生んでいるかで評価されます。

そのため、成果が出るまでの時間が長くなります。相手の選定から交渉、契約、立ち上げまで年単位になる案件も多く、途中経過を説明し続ける必要があります。

損益に対する当事者性は企業によって違います。成立させた提携や事業の損益(売上と、それに対応する費用)まで負う設計と、成立までを担って運用と損益は事業責任者へ引き継ぐ設計があります。求人票と面接では、担当する事業の売上目標を持つのか、費用の裁量まで持つのかを確認してください。ここが曖昧なまま着任すると、数字の責任だけが後から乗ることになります。

主な業務範囲

  • 機会の探索。自社の強みが通じる市場と、組む価値のある相手を洗い出す
  • 提携の交渉。条件、収益の分け方、責任範囲を相手と詰める
  • 契約の締結。法務と連携し、条件を契約書に落とす
  • 立ち上げの推進。社内の開発・営業・カスタマーサクセスを動かし、実際に動く状態にする
  • 事業性の検証。小さく試して、続けるか撤退するかの判断材料をつくる

求められる能力

前提になるのは、自社と相手の双方に利のある形を設計できることです。自社の希望だけを並べた提案は、相手の社内を通りません。相手の意思決定の構造まで読んだうえで条件を組む力が要ります。

もう一つ求められるのが、社内を動かす力です。提携は契約した時点では何も生まず、開発と営業が動いて初めて数字になります。他部署に指揮命令の関係を持たないまま実行まで持っていけるかで、成果が分かれます。

この職種に就く人のキャリア経路

多いのは法人営業、経営企画、コンサルティングファームからの移行です。顧客と数字の両方を扱った経験がある人が、組み合わせをつくる側へ回る流れが一般的です。プロダクトマネージャーが外部との連携を担当するうちに専任になる例もあります。

その先は、事業責任者、経営企画の責任者、COOに分かれます。投資やM&Aの側へ移り、事業を買う立場に回る人もいます。

隣接職種との違い

職種責任の中心事業開発との違い
法人営業既存プロダクトの受注売る対象と方法が決まっている。事業開発は売り方そのものを設計する
事業責任者事業全体の損益事業全体を担う。事業開発が提携や新規事業の損益まで持つか、成立後に事業責任者へ引き継ぐかは企業によって異なる
プロダクトマネージャー何を作るかの判断とプロダクトの成果自社プロダクトが対象。事業開発は他社との組み合わせを含む
ソリューションアーキテクト商談における技術構成の設計案件ごとの技術支援。事業開発は契約と事業設計が中心
CRO全社の収益目標と、それを達成する体制収益全体に責任を持つ。事業開発は新しい収益源をつくる工程を担う
RevOps収益に関わる部門の仕組みとデータの整備横断の基盤づくり。事業開発は個別の提携と事業の成立が対象

採用担当の見極めポイント

  • 求人票では、この語が何を指すかを具体的に書いてください。新規開拓・提携・新規事業のどれかで、必要な経験が別物になります
  • 職務経歴書では、成立した案件のその後を確認してください。契約数だけでは、立ち上げまで持っていける人かを判断できません
  • 決裁の経路を先に決めてください。交渉のたびに条件が社内で覆る状態では、相手からの信用が積み上がりません

求人・市場の傾向

この語での募集は多い一方、実務内容の幅が広いため、候補者側も応募先を絞りにくい状況にあります。国内には実質が新規開拓営業の募集も多く、候補者は「営業の言い換え」を警戒しています。営業なら営業と正直に書いたほうが応募は集まります。媒体では「事業開発」「事業企画」「法人営業」のカテゴリで引き、契約や提携を成立させた記述があるかで絞る進め方が現実的です。

想定している相手の業界と、直近で成立させた提携の例を求人票に書いてください。この職種の候補者は、そこで仕事の実像を判断します。

出典