開発プロセス・方法論
SLO・エラーバジェット
(えすえるおー・えらーばじぇっと/SLO / Error Budget)
- 登場(海外)
- 2016年
- 更新
- 2026-08-25
一言でいうと
サービスの信頼性に目標値を定め、その未達分を変更の許容枠として使う考え方です。安定と変更のどちらを優先するかを、数字で決められるようにします。
提唱者と登場年
Googleが自社の運用から整理し、2016年に公開したSRE本で広く知られるようになりました。第4章がSLOを、第3章がリスクの受容とエラーバジェットの動機を扱っています。国内での普及時期は特定していません。日本語版の刊行を経て使われています。
何を解決するか
安定を優先する立場と、変更を出したい立場の対立は、どちらも正しいために議論では決着しません。可用性の目標を決め、目標に対する余裕を数値で持つことで、この対立を判断可能な形にします。
余裕が残っていれば変更を出してよい。使い切ったら、信頼性の回復を優先する。判断の基準を事前に合意しておくため、障害のたびに力関係で決まる状態を避けられます。
実際の進み方
まず利用者が体感する指標を選びます。応答時間、成功率、可用性などから、そのサービスで意味のあるものを選び、目標値を決めます。100パーセントは目標に置きません。到達できないうえに、到達しようとすると変更が出せなくなります。
目標との差分がエラーバジェットです。期間ごとに消費量を見て、残っていれば変更を進め、使い切ったら回復を優先します。合意の相手には、事業側も含めてください。
導入でよくある失敗
- 目標値を高く置きすぎる。常に未達となり、指標として機能しなくなります
- 内部の指標だけで測る。利用者の体感と乖離します
- 使い切ったときの行動を決めていない。数値を見るだけで運用が変わりません
求人票にこの語がある場合に読み取れること
信頼性を数値で管理している組織です。SREやDevOpsエンジニアの募集で使われることが多く、運用が属人的でない可能性を示します。
候補者を引くならSREという職種名です。SLOはむしろ、SREの募集要項に書かれていることのほうが多くなります。
自社側では、エラーバジェットを使い切ったときに実際に何をしたかを確認します。具体例がなければ、数値を見ているだけで運用は変わっていません。オンコールの当番の頻度と手当の扱いも、この職種の候補者が必ず確認する項目です。候補者には、目標値を誰と合意して決めていたかを聞きます。
隣接手法との違い
| 用語 | 指すもの | この語との違い |
|---|---|---|
| SLA | 利用者との契約上の合意水準 | 契約。SLOは社内の目標 |
| SLI | 信頼性を測る指標そのもの | 測る対象。SLOはその目標値 |
| 監視 | 稼働状況を観測する仕組み | 観測の手段。SLOは判断の基準 |
関連キーワード
SRE / DevOps / 可観測性 / SLI