職種・体制

QA Architect

きゅーえーあーきてくと/QAアーキテクト

登場(海外)
2012
国内で見られるように
2021年ごろ
更新
2026-08-24

一言でいうと

品質をどの工程でどう担保するかを組織全体で決め、標準として各チームへ配る役割です。個別のテストは担当しません。

この職種の出自と登場時期

この呼称には、初出を特定できる一次文書がありません。国際的な資格体系の側で近いのは ISTQB の Advanced Level Test Management で、テスト戦略の策定、テストプロセスの設計、組織へのテスト方針の展開を扱います。この資格体系の上位が整備された2012年前後を、役割としての起点として扱います。

国内で「QAアーキテクト」「テストアーキテクト」という肩書きが求人票と組織図に現れ始めたのは2021年前後です。QA組織を立ち上げた事業会社が、テストを実施する担当とは別に、標準と戦略を設計する担当を置き始めたことが背景にあります。国内では呼称そのものが揺れており、Qualab は品質関連の職種名が組織ごとに異なる状況を整理しています。QAマネージャー(組織と要員に責任を持つ)と QAアーキテクト(やり方に責任を持つ)を分けている組織もあれば、兼務させている組織もあります。

したがって求人票でこの語を見たときは、マネジメントを含むのか、設計に専念する専門職なのかを確認する必要があります。

ミッション

問われるのは、品質の担保の仕方を再現できる形にできるかどうかです。特定の人が優秀だから品質が保たれている状態から、誰が担当しても一定の水準になる状態へ移すことが成果になります。

そのため、成果はテスト件数でも不具合件数でも測れません。全社の不具合の傾向、テスト工程での検出率の推移、各チームへの標準の適用率といった、組織単位の指標で見ることになります。

主な業務範囲

  • 品質戦略の策定。どのプロダクトにどこまでの品質を求めるかを、事業の要求から決める
  • テストアーキテクチャの設計。単体・結合・E2Eのどの層で何を担保するかを決め、重複と抜けをなくす
  • 標準とガイドラインの整備。テスト設計の型、不具合の分類、リリース判定の基準を明文化する
  • ツールと基盤の選定。全社で使うテスト管理ツール、自動化基盤の方針を決める
  • 各チームへの展開と定着。標準を配って終わらせず、運用状況を見て改訂する

求められる能力

まず求められるのは、テスト設計技法と自動化の実装経験の両方です。どの層で担保するかを決めるには、テストコードとCIの現実的な制約を理解している必要があります。

技術以外では、事業の要求を品質の水準に翻訳できるかどうかが重く見られます。すべてを高水準にすると開発が止まるため、どこを厚くしてどこを薄くするかを経営や事業側と合意する必要があります。標準を押し付けずに各チームへ入れていく調整力も欠かせません。

この職種に就く人のキャリア経路

多いのはQAエンジニアの上位からの移行です。複数プロダクトのQAを経験し、標準づくりを任される流れが一般的です。SETとして自動化基盤を作ってきた人が、テスト戦略の設計まで対象を広げるケースもあります。

QAマネージャーや VPoQ として組織を担当する例が代表的です。開発生産性の責任者として、品質以外の領域まで対象を広げる人もいます。

隣接職種との違い

職種責任の中心QA Architect との違い
QAエンジニア担当プロダクトの品質を担保する対象が1プロダクト。QA Architect は組織横断のやり方を設計する
QAマネージャーQA組織の要員配置と評価人と組織に責任を持つ。QA Architect は手法と構造に責任を持つ
Enabling QA開発チームが自力で品質を担保できる状態づくり支援の対象が個々のチーム。QA Architect は全社の標準そのものを作る
SETテスト自動化の基盤とツールの開発提供物が実装。QA Architect は何をどこで担保するかの設計が中心

採用担当の見極めポイント

  • 求人票では、この役割にマネジメントを含むかどうかを明記してください。専門職として募集しているのに評価と要員配置まで期待していると、入社後に齟齬が生まれます
  • 職務経歴書を見るときは、作った標準が実際に運用されたかを確認してください。ドキュメントを作った経験と、各チームに定着させた経験は別に評価する必要があります
  • 経営や開発責任者が品質水準の議論に参加する用意があるかを、募集前に確認してください。事業側の合意なしに標準だけ作っても運用されません

求人・市場の傾向

国内の母集団はQA関連職のなかでは薄く、この呼称で検索して集まる件数は限られます。実際の件数は媒体ごとの職種カテゴリの定義で変わるので、自社が使う媒体の検索結果で確認してください。QAマネージャー、QAリード、テスト設計の経験が長いQAエンジニアを対象に含めて、業務内容で選別します。

求人票では、対象となるプロダクト数、既存のQA体制の人数、標準がどこまで整っているかを書くと、候補者が担当範囲を判断できます。

関連キーワード

テスト戦略 / テストピラミッド / 品質基準 / ISTQB / QAマネージャー / 標準化 / 全社最適

出典