開発プロセス・方法論
カンバン
(かんばん/Kanban)
- 登場(海外)
- 2010年
- 更新
- 2026-08-25
一言でいうと
作業を見える化し、同時に進める量を制限して流れを整える手法です。期間で区切らない点が、他の反復型の手法と大きく違います。
提唱者と登場年
もとはトヨタの生産方式で使われていた仕組みで、必要な分だけ後工程が前工程から引き取る考え方に由来します。ソフトウェア開発への適用としては、David Andersonが2010年に刊行した書籍が整理された起点にあたり、2004年以降の実際の案件での経験がまとめられています。
生産方式としてのかんばんと、ソフトウェア開発の手法としてのカンバンは、同じ源を持ちながら適用の対象が違います。求人票でこの語を見たときは、どちらの文脈かを確認してください。
何を解決するか
同時に多くの作業に着手すると、どれも完了しないまま滞留します。着手した作業は完了するまで価値を生まないため、仕掛りが増えるほど、投入した時間に対する成果が落ちます。
同時進行の上限を決めることで、この滞留を防ぎます。上限に達したら新しい作業に着手せず、まず詰まっている箇所を解消します。
実際の進み方
作業の流れを列で表した板を用意し、各列に同時進行の上限を設定します。作業がその上限に達したら、上流は新しい作業を流し込みません。詰まっている列を全員で解消してから次を流します。
計測するのは、着手から完了までの時間と、期間あたりの完了数です。この二つを見ると、どこで流れが止まっているかがわかります。
導入でよくある失敗
- 板を用意するだけで上限を設定しない。作業の一覧が可視化されただけになります
- 上限を守らず割り込みを入れる。滞留が戻ります
- 完了の定義を決めない。列を移動する基準が人によって変わります
求人票にこの語がある場合に読み取れること
期間で区切らない進め方を採っている可能性があります。運用や保守のように、依頼が随時発生する仕事で選ばれることが多い手法です。
媒体の検索窓には入りません。要件に入れる代わりに、求人票では新規開発と運用の比率を書いてください。候補者がまず確認する項目で、書いてあるだけで問い合わせの質が変わります。
自社側では、同時進行の上限を実際に設定しているかを確認します。設定していなければ、板を使っているだけの状態です。候補者には、割り込みが入ったときの扱い方を聞きます。上限を守る運用を経験した人は、割り込みを断る判断の話ができます。
隣接手法との違い
| 用語 | 指すもの | この語との違い |
|---|---|---|
| スクラム | 期間を区切って計画と確認を行う枠組み | カンバンは期間で区切らない |
| アジャイル | 反復と適応を重んじる考え方 | カンバンは実装のひとつ |
| トヨタ生産方式 | 製造業の生産管理の体系 | 適用の対象が製造工程 |
関連キーワード
スクラム / アジャイル / 仕掛り制限 / リードタイム