職種・体制
Embedded QA
(えんべでっどきゅーえー/エンベデッドQA)
- 登場(海外)
- 2011年
- 国内で見られるように
- 2021年ごろ
- 更新
- 2026-08-24
一言でいうと
独立したQA部門で待つのではなく、開発チームの一員として計画から参加し、日々の開発のなかで品質を確認していくQAの働き方を指します。
この職種の出自と登場時期
先に注意点をひとつ挙げます。「エンベデッド」は組み込みシステム(embedded systems)を連想させますが、この語が指すのは組み込み機器のQAではなく、開発チームに組み込まれて働くQAです。求人票でどちらの意味かは、対象プロダクトの記載で見分けてください。
概念のもとになっているのは、テストの独立性という考え方です。ISTQB のシラバスは独立性を段階で示しており、開発者自身がテストする形、開発チーム内の専任テスターが担当する形、独立したテストチームが担当する形、組織の外部が担当する形を並べています。Embedded QA はこのうち2番目にあたり、独立性は下がるかわりに開発チームとの距離が近くなります。
近い語に「インプロセスQA」があります。国内ではほぼ同義に使われる場面もありますが、開発工程の内側で品質を確認するという工程の話であり、開発チームに所属するという体制の話とは指す対象が違います。本用語集では別の語として扱います。
呼称として国内で使われ始めたのは2021年前後です。アジャイル開発の普及でスプリント単位の開発が一般化し、リリース前にまとめてテストする形が合わなくなったことが背景にあります。エムスリーは自社のQAと開発組織の関わり方を3つの形で整理して公開しており、QA組織の形を扱う連載記事も国内で継続的に出ています。
ミッション
問われるのは、開発の流れを止めずに品質を確認し続けられるかどうかです。実装が終わってから不具合を見つけるのではなく、仕様の検討段階から参加して、そもそも作り込まれないようにします。
チームの一員である以上、成果はチームの成果と一体で見ます。スプリント内で完了した機能の割合、差し戻しの発生量、リリース後の不具合件数が主な指標になります。
主な業務範囲
- スプリント計画とリファインメントへの参加。受け入れ条件を仕様確定の前に詰める
- 実装と並行したテスト設計。開発が終わり次第すぐ確認できる状態を用意する
- 手動テストと自動テストの実施。日々のスプリント内で確認を完了させる
- 不具合の一次切り分け。開発者に渡す前に再現条件を絞り込む
- ふりかえりへの参加。品質面で起きた問題をチームの改善につなげる
求められる能力
候補者に求めたいのは、テスト設計技法と、開発チームの会話についていける水準の技術理解です。Gitでの作業、APIの確認、CIの結果の読み取りができると、チーム内での役割が広がります。
非技術面では、チームの一員として働く姿勢が重く見られます。QAとして独立性を保ちながら、開発者と同じ目標を共有する必要があり、指摘を対立にせずに扱う調整力が求められます。
この職種に就く人のキャリア経路
多いのはQAエンジニアからの移行です。独立したQA部門でテストを担当していた人が、開発チーム配属に変わる形が一般的です。アジャイル開発の経験がある開発エンジニアが、品質側に軸足を移す例もあります。
この先は、Product QA Engineer として担当プロダクト全体に責任を持つ道、Enabling QA として複数チームの自走を支援する道、スクラムマスターへ広げる道に分かれます。
隣接職種との違い
| 職種 | 責任の中心 | Embedded QA との違い |
|---|---|---|
| QAエンジニア | プロダクトの品質を担保する | 独立したQA部門に所属する形も含む。Embedded QA は開発チーム所属という働き方を指す |
| Product QA Engineer | 特定プロダクトの品質に継続して責任を持つ | 責任範囲の話。Embedded QA は所属と働き方の話であり、両立する場合がある |
| Enabling QA | 開発チームが自力で品質を担保できる状態づくり | 支援して離れることが前提。Embedded QA はチームに留まり自ら確認する |
| SET | テスト自動化の基盤とツールの開発 | 提供物が基盤。Embedded QA は日々の開発内での確認が中心 |
採用担当の見極めポイント
- 求人票では、組み込みシステムのQAではないことが伝わる書き方にしてください。職種名だけでは誤解が生じ、応募が想定と違う層に偏ります
- 経歴書では、開発チームとどう関わってきたかを確認してください。テストを依頼されて実施していた人と、計画段階から入っていた人では、入社後の立ち上がりが変わります
- 開発チーム側にQAを迎える用意があるかを、募集前に確認してください。席だけ移して関わり方が変わらないと、独立性だけが下がります
求人・市場の傾向
この呼称単独での求人は限られており、多くは「QAエンジニア(開発チーム所属)」として募集されています。母集団を作るなら、アジャイル開発の経験があるQAまで対象を広げ、働き方の希望で選別するほうが到達しやすくなります。
配属予定のチーム構成とスプリントの長さを書いてください。日々の働き方がそこで決まる職種です。
関連キーワード
アジャイル / スクラム / スプリント / 受け入れ条件 / シフトレフト / テストの独立性 / インプロセスQA