職種・体制
Analytics Engineer
(あなりてぃくすえんじにあ/アナリティクスエンジニア)
- 登場(海外)
- 2019年
- 国内で見られるように
- 2022年ごろ
- 更新
- 2026-08-24
一言でいうと
集まった生データを分析に使える形へ変換し、指標の定義を社内で揃えることに責任を持つ職種です。
この職種の出自と登場時期
きっかけは、データ基盤を持つ会社で同じ問題が繰り返し起きたことです。データは集まっているのに、部署ごとに集計方法が違って数字が合わない。データエンジニアは基盤の運用で手一杯で、データサイエンティストは分析のたびに前処理を書き直している。この間に落ちる仕事を担当する役割として生まれました。
呼称を広めたのは dbt Labs です。同社は2019年前後から analytics engineering という言葉を使い、analytics engineer を「ソフトウェアエンジニアリングの手法をデータ分析に持ち込み、変換されたデータセットを社内に提供する担当」と定義しました。SQL による変換をバージョン管理し、テストを書き、ドキュメントを自動生成するという進め方が、この職種の輪郭になっています。
国内では2022年前後から求人が現れました。リクルートは2022年にアナリティクスエンジニアの募集を開始し、データエンジニアやデータサイエンティストが兼務していたデータ整備を独立した職種として切り出した経緯を公開しています。ブレインパッドも同時期に、分析環境の整備とデータ管理を担当する役割として説明しています。
ミッション
責任範囲は、社内の誰が集計しても同じ数字になる状態をつくることです。データを速く出すことではなく、出てきた数字の定義が一意であることが評価の対象になります。
そのため、指標の定義を決める過程そのものが仕事に含まれます。営業と経理で「売上」の定義が違うなら、どちらかに寄せるか両方を別の指標として定義するかを、関係者と合意して確定させます。
主な業務範囲
- 変換ロジックの実装。生データから分析用のテーブルを組み立て、SQL をバージョン管理する
- 指標の定義と管理。ビジネス側と合意した定義を、コードとドキュメントの両方に残す
- データ品質のテスト。件数・一意性・参照整合性の検査を変換の各段階に組み込む
- ダッシュボードの土台づくり。BIツールが参照するデータセットを設計する
- 利用者からの問い合わせ対応。数字が合わない原因を切り分け、定義か実装かを判断する
求められる能力
前提として求められるのは、SQL の設計力とデータモデリングです。加えて、Git によるバージョン管理、テストの書き方、CI の考え方といったソフトウェアエンジニアリングの作法が要件に入ります。dbt の実務経験を挙げる求人が国内でも増えました。
もう一つ求められるのが、業務を理解して定義を言語化する力です。この職種の成果は、技術的な実装よりも、曖昧だった指標を関係者が納得する形で確定させられるかどうかで決まります。
この職種に就く人のキャリア経路
多いのはデータアナリストからの移行です。分析のたびに同じ前処理を書いていた人が、変換層の整備を任される流れが一般的です。データエンジニアが業務側に近づく形で移るケース、BI 担当から入るケースもあります。
指標の定義を一巡させたあと、データ組織のリードやデータガバナンスの責任者に就く例が中心です。基盤側を深めてデータエンジニアへ移る人もいます。
隣接職種との違い
| 職種 | 責任の中心 | Analytics Engineer との違い |
|---|---|---|
| データエンジニア | データの取り込みと基盤の運用 | 基盤そのものが対象。Analytics Engineer は変換層とビジネス定義を担当する |
| データサイエンティスト | 分析による意思決定の支援 | 分析結果が成果物。Analytics Engineer は分析の前提になるデータセットが成果物 |
| データアナリスト | 数字の集計と示唆の提示 | 依頼ベースの分析が中心。Analytics Engineer は繰り返し使える定義を残す |
| BIエンジニア | ダッシュボードの構築と運用 | 可視化が対象。Analytics Engineer はその手前のデータセットを設計する |
採用担当の見極めポイント
- 求人票では、指標の定義を決める権限がどこまであるかを書いてください。実装だけを任せる想定なら、この職種名を使わないほうが期待のずれが起きません
- 職務経歴書では、定義を関係者と合意した経験を確認してください。SQL を書いた経験だけでは、この職種の中心部分を判断できません
- データ基盤が未整備の状態でこの役割を採ると、変換層より先に取り込みの整備から始まります。現状を伝えたうえで、その前提を許容できる候補者を選ぶ必要があります
求人・市場の傾向
国内では呼称が定着し始めた段階で、この語だけで検索して集まる件数は限られます。データエンジニアのカテゴリに吸収されている媒体が多く、この語での件数は実態より小さく出ます。媒体では「データエンジニア」「データアナリスト」の職種カテゴリで引き、フリーワードに「dbt」「データモデリング」「指標定義」を入れて絞る進め方が現実的です。
既存の基盤とBIツールの構成、指標の整備状況、データを使う部署。この3つが書かれていない求人は、候補者側で着任後の初動を描けません。
関連キーワード
dbt / データモデリング / 指標定義 / データマート / BI / データガバナンス / ELT / SQL