NEW

エンジニア採用を任されたら|エージェント編・総論

エンジニア採用でエージェントを使うときの前提を整理します。マインドシェアの奪い合い、両手型と片手型の体制差、複数社の罠と主力5社に絞る発想を、HRdev現場の視点で実務レベルに落として解説。

こんにちは、HRdevの永井です。

この記事では、中途採用における一大チャネル、人材紹介(以下エージェント)の取り組みについて記載します。特に、運用の前提となる「マインドシェアの奪い合い」「両手型と片手型の体制差」「主要パートナーとの深い連携」の3点についてお伝えします。

エージェントという採用経路

人材紹介エージェント(以下、エージェント)は、企業の採用責任者・人事と、転職を考えるエンジニアの間に立つ「社外のリクルーター」です。尚、この記事では正社員向けのエージェントのみを扱います。

企業側にとっては、社内の人事の代弁者として候補者に自社の魅力を伝え、候補者の思いや状況を共有してくれる存在です。

一方で、エンジニア採用市場でエージェントを使うときの大前提は「担当者のマインドシェアをどう取りに行くか」に集約されます。ここを誤解したまま運用を始めると、半年後に紹介が止まる構造ができてしまいやすいと感じています。

マインドシェアの奪い合い

少なくとも中途のエンジニア採用市場では、優秀層を中心に企業側の需要が圧倒的に強く、エージェントの候補者数や担当者リソースが追いついていない状態が長く続いています。 特に、優秀な担当者ほど抱えている案件は数十社単位で、その中で日々であう候補者に対して「どの会社の求人を紹介するか」を毎日選んでいます。

観点

状況

担当者を取り合う構造

同じ担当者を複数の企業が同時に動かそうとしている。優先順位は担当者の意思次第

担当者の異動・退職頻度

1〜3年で担当者が変わるケースも多い

つまり、エージェント運用の第一原理は「担当者のマインドシェアをいかに自社に向けてもらうか」です。 契約を結べば紹介が来るわけではなく、契約後に担当者の頭の中で自社が「動かす価値のある案件」として上位に置かれて初めて、紹介が動き始めます。

担当者に真摯に向き合う

担当者のマインドシェアは、お金で買えるものではありません。

料率を上げても、上位に来るのは一時的です。継続的にマインドシェアを取れる会社の共通点は、担当者に対して真摯に向き合っていることに集約されます。

自分の支援現場で見てきた範囲では、次のような姿勢が効いていると感じています。

  • 担当者の時間を尊重する(連絡を遅らせない、定例を欠かさない、議事録を当日中に共有する)

  • 担当者を「業者」ではなく「採用パートナー」として扱う(カジュアルなコミュニケーションを取れる体制を作る、現場や入社者からのコメントを伝える、感謝を可視化して伝える)

  • 担当者の成果最大化を目指す(通過傾向や実際の活躍人材など推薦時の参考情報や、候補者向けのアトラクト情報をまとめて共有する、エージェントのKPIを知りその達成も視野に入れる)

エージェント運用は、契約・料率・案件メモといった「制度面」だけではなく、担当者一人一人との関係性で動きます。営業的な側面が有ることを覚えておくと良いです。

人材紹介エージェントの体制 — 両手型と片手型

エージェント側の社内体制は、大きく「両手型(企業担当と候補者担当を兼業)」と「片手型(企業担当と候補者担当を分業)」の2種類に分かれます。

呼び方は諸説ありますが、この2類型があることは認識する必要があります。 どちらの体制と組んでいるかで、取るべきコミュニケーションが変わります。

両手型 — 1人が法人と候補者の両方を見る

両手型は、1人の担当者が法人営業(リクルーティングアドバイザー / RA)と候補者対応(キャリアアドバイザー / CA)の両方を担う体制です。 中堅以下のエージェント、エンジニア特化型、ヘッドハンター系に多い形態です。

観点

特徴

担当者の役割

法人開拓・要件定義・推薦・候補者面談・選考フォロー・クロージングまで一気通貫

強み

顧客企業と候補者の双方を深く理解しているため、推薦の解像度が高い。キャリアメイク的な提案を踏まえた高度な推薦をしてくれる

弱み

担当者1人の稼働量に紹介数が直結する。担当者が忙しいと紹介が止まる

マインドシェアの効き方

担当者と直接の関係構築が成果に直結する

両手型のコミュニケーションのコツは「担当者が候補者にアプローチするときの素材を、小コストで使える形で多く渡すこと」です。 担当者は新規の面談からフォローアップまで、1日に何十人もの候補者と話します。

自社案件を候補者に紹介するときに、その場で取り出せる素材(社員インタビュー、技術ブログ、登壇資料、経営層やエンジニアからのメッセージ動画等)が手元に多くあると、推薦の量と質の両方が上がります。

「素材を渡す」感覚を具体的にすると次のあたりです。

  • 求人票だけでなく、候補者に直接見せられるアトラクト資料

  • 既存メンバーのインタビュー動画や記事のURLまとめ

  • 採用ピッチ資料(候補者にそのまま転送できるもの)

  • 技術ブログ・登壇資料の代表3〜5本のリンク集

そして、エージェントが悩んだときにすぐに相談できる窓口と関係性があることが何より重要です。

担当者がこれらを「使える状態」で持っていると、候補者と話す時間の中で自社の話題が自然に出やすくなります。

自分たちの現場では、社員インタビュー記事やアトラクト資料の初稿はAIにドラフトさせる運用に切り替えています。直近のSlackや採用ピッチ資料を渡してたたきを出させ、固有名詞や本人の許諾が必要な部分だけ手で直す。素材が増えるほど両手型エージェントへの引き出しが効きやすくなるので、素材生成の工数を下げる仕組みは早めに用意するのがよいかなと考えています。

片手型 — RAとCAが分業

片手型は、法人営業(RA / リクルーティングアドバイザー)と候補者対応(CA / キャリアアドバイザー)が分業する体制です。リクルートエージェント・dodaなどの大手総合型、規模の大きいエンジニア特化型に多い形態です。

観点

特徴

担当者の役割

RAは法人開拓と要件ヒアリング、CAは候補者の面談と推薦・選考フォローを担う

強み

各担当者が領域に特化しているため、候補者数のスケール・並行処理に強い

弱み

RA→CAの情報伝達でロスが発生する。CAは顧客企業への理解・解像度が乏しくなりやすい

マインドシェアの効き方

RAとCA、両方への働きかけが必要。CAは数十社を担当するため自社の解像度が薄い前提

片手型のコミュニケーションのコツは「RAが社内営業しやすいような体制づくり」「CAが顧客企業を直接知らない前提で、要点をハイライトとしてまとめること」と「候補者本人に読んでもらうことを意識したコンテンツ作成・設計」です。

CAは複数の支援先を担当しており、自社の事業・組織・カルチャーを深く理解してもらうのは現実的には難しいです。そのため、両手型と同様に、CAが候補者と話すときに「この資料を見せれば自社の魅力が伝わる」状態を、自社側で先回りして用意しておく必要があります。

CAが「自分の言葉で説明する」のではなく、「資料を渡すだけで魅力が伝わる」状態を作るのが、片手型エージェントとの連携の本丸です。RAには社内営業したくなるような自社の魅力を、CAには候補者に転送できる資料を、と分けて渡せる運用が望ましいと思っています。

体制の確認は契約前に

両手型と片手型は、契約前の初回ミーティングで必ず確認しておきます。エージェント側に「御社の社内体制はRA・CA分業ですか、それとも一人で両方ですか」と直接聞くのが早いです。その際には、どのようなコミュニケーションを取れると推薦しやすいかなども聞いて置けると改善しやすくなるのでおすすめです。

自分たちが取り組む際は、初回MTGで体制と担当者の交代頻度・社内アサインの仕組みまで聞いてから契約に入るようにしています。後から「思っていた動き方と違う」とならないために、最初の30分で潰しておくのがよいかなと思います。

主要パートナーと深く連携する

エージェントを増やせば紹介が増える、と考えて10社・20社と契約し、薄く広く運用するケースをよく見ます。 立ち上げ期は窓口が広いほど紹介の総量が増えますが、半年経つと紹介がほぼ止まる、というケースが多いです。

理由はシンプルで、エージェント側も複数の支援先を抱えていて、マインドシェアの順番で動かす案件を選んでいるからです。 連絡も更新もない会社は、担当者のリストの末尾に置かれます。結果として、筋が悪い推薦ばかり、もしくはまったく紹介が来ない、という状態に陥ります。

自分が見ている範囲では、最初に広げるフェーズは必要ではありますが、優秀な担当がついてくれた主力エージェント3〜5社に深く入る運用のほうが、複数社浅く付き合う運用より結果的に紹介数が増えると感じています。

「主力」の目安は、直近3ヶ月で3件以上の推薦がある、もしくは選考パイプラインへの貢献数の上位2〜3社に入るエージェントです。まずはこの粒度で考えておくと、社内で「主力/補助」を会話するときの共通言語ができます。

エージェントとのパートナーシップ実現に向けて

ここまでで、エージェントというチャネルそのものについてと、体制ごとの違い、程度に絞って深く付き合う発想を共有しました。

次の記事では実際にどのエージェントの大まかなカテゴリーや料率体系、特徴を解説します。

永井涼平

HRdev代表

レバレジーズ、クラウドワークス等を経て2021年にHRdev創業。18年以上エンジニア採用の最前線に立ち、ログラス・MFS・SALESCORE等の支援実績を持つ。

採用のお悩み、30分から相談できます

スカウト運用・媒体選定・採用プロセス設計など、無料でご相談ください

無料相談を予約する

こんな記事も読まれています