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エンジニア採用を任されたら|Step2 企画・設計編

エンジニア採用を任された人事向け連載のStep2(企画・設計編)。企画と経営報告、求人票、選考設計、面接形式、選考フィードバック、改善サイクルまでを企画・設計の視点でまとめて解説。

こんにちは、HRdevの永井です。

エンジニア採用の全体像を6本立てで扱うシリーズの2つ目「Step2(企画・設計編)」です。

この記事では、中途採用業務における企画と設計の工程を扱います。採用KPIとカウンターパート報告の設計、求人票のブラッシュアップ、選考設計と評価軸、選考フィードバックの設計、そして運用全体を回す改善サイクルまでを対象としています。

ここが弱いと、スカウトやエージェント運用をどれだけ磨いても成果が伸びません。逆にここを整えておくと、3以降の実行レイヤーがしっかり成果が出るのでしっかり取り組むことが重要です。

※Step1はこちら: エンジニア採用を任されたら|Step1 準備編

これまでの振り返り

Step1(準備フェーズ)では、目標設定・現状把握・環境整備・要件定義・母集団形成の入り口を5項目として扱いました。

本記事(Step2)では、この準備のうえで回していく実行フェーズのうち、企画・求人票・選考設計・改善サイクルといった「設計の層」を扱います。

  • Step1(準備編): 目標設定・現状把握・環境整備・要件定義・母集団形成の入り口

  • Step2(本記事/企画・設計編): 企画と経営報告、求人票、選考設計、面接形式、選考フィードバック、改善サイクル

  • Step3(スカウト運用編): 媒体CSとの連携、スカウトの日次運用とカジュアル面談実施率向上

  • Step4(エージェント編): エージェントとの伴走関係と情報発信

  • Step5(採用広報編): 採用広報・技術広報・リファラル基盤の中長期の地盤づくり

  • Step6(クロージング・振り返り編): 第二の関門(候補者体験)、定量・定性の振り返り、内製/外部分担の判断軸

実行フェーズの全体像

実行フェーズを構成する業務は、大きく次の6つに分けられます。それぞれ回すリズム(頻度)が違うので、頭の中で時間軸のマップを持っておくと業務の並行管理がしやすくなります。本シリーズでは、業務シーンごとに記事を分けて扱っています。

業務シーン

主なアクション

基本の頻度

対応記事

企画

KPI設計、カウンターパートへの報告、運用レポート

週次/月次/四半期

Step2(本記事)

求人情報ブラッシュアップ

要件・求人票の継続メンテ、年収レンジと採用マーケットの変化を反映

月次

Step2(本記事)

媒体CS連携

利用中媒体のCS担当者と定例を組み、検索条件や運用を磨く

初期は月2回/安定後は月1回

Step3

スカウト運用

日次送信、週次の改善レビュー、カジュアル面談実施率向上

送信は日次/改善は週次

Step3

エージェント対応

契約、定例、エージェント向けの情報発信

主力は月1回定例/その他は月1ニュース

Step4

採用広報・技術広報・リファラル

採用広報、技術広報、リファラル基盤の醸成

四半期で棚卸し/週次で発信、月次で企画

Step5

加えて、この6つの業務に横串で効く「改善サイクル」を週次・月次・四半期の3つのスパンで回します。改善サイクルは7つ目の業務ではなく、6つの業務の結果を束ねて次の打ち手に反映する別レイヤーとして位置づけておくと、運用イメージがクリアになります。改善サイクルは本記事の末尾で扱います。

企画と経営報告を設計する

企画は、他の業務すべての上流に当たる業務です。

どこに力を入れるか、どの数字が赤信号か、経営に対してどう報告するか。この設計が弱いと、現場の動きはあるのに成果が伝わらず、採用予算や体制の議論で防戦に回ったり、打ち手が後手に回ってしまいます。関係者と連携しつつ、速やかに最低限の基盤を整えに行きましょう。

採用KPIの設計

採用KPIは「結果指標(ファネル)」と「施策指標(能動的なアウトプット)」の2段構えで設計します。結果指標は候補者が動いた数字、施策指標は自分たちが動いた数字です。両方を並べると、「動いているのに結果が出ない」のか「そもそも動いていない」のかが見分けられます。

結果指標(受動的なファネル)は、上から下に積み上がる形で追います。

指標

観点

エントリー数

自社の魅力が伝わっているか

カジュアル面談数

自社の魅力が伝わっているか

一次面接数

少しでも自社で働いてみたいと思ってくれたか

内定数

自社が「一緒に働きたい」と思える人と会えたか

内定承諾数

自社が選んでもらえたか

施策指標(能動的なアウトプット)は、採用チームが自分の意思で動かせる数字です。

指標

何を見るか

スカウト送信数

ダイレクトリクルーティングへの投下量

エージェント連携社数

紹介チャネルの母数

イベント参加人数

カンファレンス・勉強会経由の接点量

ブログ公開数

採用広報・技術広報のアウトプット量

リファラル紹介数

既存メンバー経由の紹介量

結果指標だけ追うと「何を動かせば結果が動くか」が見えません。施策指標だけ追うと「動いたのに結果が出ていない」状態を見逃します。両方を月次の定例レポートに載せて、施策指標と結果指標の連動を経営層と一緒に見るのが基本です。

施策指標の設計の仕方

例えば、スカウト送信数の目安は、採用規模から逆算して決めます。

率の指標は媒体・ポジション・企業知名度で大きく上下しますが、エンジニア職で目安にしているレンジは次のあたりです。

指標

目安レンジ

スカウト返信率

5〜12%(媒体・ポジション・企業知名度で上下)

面談実施率

85〜95%

書類選考通過率

10〜20%(一桁なら違和感。検索条件や要件定義とのズレを疑う)

一次面接通過率

自社実績に基づき調整(顧客データで継続的にアップデート)

内定承諾率

50〜70%(50%未満ならクロージング・条件設計を見直し改善を図る)

このレンジは、自分の支援現場で蓄積してきた実績と、公開ベンチマークから置いた参考値です。

業種・ポジション・媒体・企業知名度で上下するので、目標値としてそのまま使うのは危険です。自社の直近3〜6ヶ月のファネルで実績値を算出し、そこから逆算して送信数と選考段階ごとの改善テーマを決めます。

たとえば年3〜5名採用で、自社の返信率実績が8%、面談実施率90%、書類通過率15%、内定承諾率60%なら、「エントリー数→カジュアル面談→一次面接→内定→承諾」の歩留まりを逆算して週20〜30件のスカウト送信が必要になります。この逆算を天帝の一つとしてチームで持っておけると打ち手の議論が具体的になります。

カウンターパートへの報告

報告の相手(カウンターパート)は、顧客(あるいは社内)の体制によって変わります。自分たちが取り組む際は、大きく分けて次の3パターンで重み付けをしています。

カウンターパート

特徴

報告で重視する点

人事担当・人事責任者

採用実務の最前線。候補者情報・運用数字に日常的に触れる

採用目標達成に向けた差分、実行レベルの詳細・課題、次のアクションの握り、施策の細かいチューニング

CTO・VPoE

技術組織を統括。要件定義や選考評価の上流にいる

要件とのマッチ度、選考基準のブレ、採用方針との整合、事業計画と採用進捗との整合

経営陣(CEO・COO・役員クラス)

事業全体の意思決定を持つ。採用は投資判断の一つ

投下リソースに対する結果、意思決定が必要な箇所、事業への影響

カウンターパートとのコミュニケーションは進捗報告と意思決定の2種類に分け、進捗報告は定例で、意思決定支援は必要なタイミングで随時実施します。

カウンターパートは時間がありません。数字の羅列より、意思決定が必要な箇所を明示するほうが議論が前に進みます。シード〜シリーズA前後のスタートアップでは、経営陣が直接カウンターパートになり、週次で状況共有しているケースもあります。相手の情報ニーズに合わせて、頻度と粒度を調整するのが安全です。

運用レポートは3パートに分ける

私たちは、情報の最新化や同期的にMTGだからこそ解決できる課題をまとめた情報のアップデート・施策の遂行状況パート、注力する必要が有る候補者個別のアプローチ検討や今の全体感を見るためのパイプラインパート、足元の候補者ファネルの構造がどうなっているかの3つに分割することで、重要度の高い議論や意思決定からできるようにしています。

レポート

中身

主な用途

情報のアップデート・施策の遂行状況

現在取り組んでいる施策の進捗や、進行に必要な相談・意思決定事項の相談

選考全体の施策推進

パイプライン

いま選考中の候補者の一覧・各ステータス・次回アクション

リアルな稼働数とクロージング機会を可視化、週次で個別対応

ファネル

スカウト送信数 → 返信数 → カジュアル面談数

送信量と初動の反応を見る。週次改善施策の立案・相談

求人票をブラッシュアップする

求人票は、一度書いて終わりの文書ではありません。採用マーケットの相場、組織の状況、プロダクトの進捗。これらは毎月のように変化するので、求人票も同じリズムで更新します。

観点

見直しの入り口

Must/Want/Nice要件

直近の面談・面接で基準がブレた箇所はないか

技術スタック

プロジェクトの進行で使う技術構成は変わっていないか

年収レンジ

採用マーケットの相場、内定承諾時の競合条件と乖離していないか

募集背景

半年前と組織の課題が変わっていないか

入社後の期待役割

候補者が具体的に描けるレベルで書けているか

面談・面接のたびに「ここは求人票に書かれてなかったから、候補者が誤解していた」と気づくポイントが出ます。この気づきをその週のうちに求人票に反映する仕組みを作っておくと、求人票の精度は自然に上がっていきます。具体的には、面接官が面接後に記入するテンプレートに「求人票の書き方にフィードバックしたい点」欄を1つ足すだけでも、更新ネタは溜まります。

採用マーケットの変化を見極める — 年収とフックの両輪

採用マーケットの変化は、年収レンジの相場候補者に刺さるフック(訴求軸)のマーケットに対する効き方の両方に現れます。どちらか片方だけ追っていても片輪走行になって届かないので、両方を並走で追いかけるのが大事です。マーケットの感度を見極めること自体が、求人票ブラッシュアップの本丸だと思ってください。

年収レンジの設定が候補者の応募判定を決める

年収は候補者から強く意識される情報です。候補者は求人票の年収レンジで「自分が対象かどうか」を先に判定し、その時点で応募・返信するかを決めます。求人票の上限・下限の置き方と、狙いたい候補者の現在給与や自社の採用スキル水準がズレていると、静かに機会損失が積み上がります。

求人票のレンジ設定

候補者側の反応

採用担当側の実害

上限が、狙いたい候補者の現在給与より低い

「給与が下がる転職」と判定され、返信率や応募率が落ちる

本来取れる層にリーチできない

下限が、狙いたい候補者の現在給与より高い

下限未満の現在給与の候補者が「自分は対象外」と判断し、応募・返信を見送られる

採用したい層を静かに取りこぼす

下限が、採用したいスキル水準に対して低すぎる

下限ギリギリのスキル層からの応募が集中する

選考負荷が増え、スカウトの質も落ちる

特に下限は扱いが難しい領域です。「このスキル水準の候補者でも、実際の内定額はもう少し低くても採用する」という社内の本音が、求人票の下限に反映されていないケースがよくあります。カジュアル面談や選考で「この候補者なら求人票の下限より低いラインでもオファーしたい」と感じる機会が続いているなら、求人票側の下限を見直す合図です。逆に、下限ギリギリで応募してきた候補者を一切採用していない運用が続いているなら、下限を自社の内定実績に合わせて引き上げます。

これはら自社のパイプライン上の候補者状況に加えて、転職ドラフトなどの媒体データや、媒体CSから拾える情報で検知できます。タイミングや切り口によって倍率は変わりますが、相場が動いていること自体は継続的に追うと取りこぼしを最小限にすることが可能です。

採用マーケットの相場と、自社の内定実績・スキル水準、その両方を踏まえて求人票の数字を最新に保つことが、機会損失を最小化する一番の近道です。

フックも陳腐化する

候補者に刺さるフックも開発マーケットの変化とともに高速に陳腐化します。

実際に、半年前まで効いていた訴求が、今はほぼ刺さらない、というケースが普通にあります。媒体CS担当者や利用エージェントからベンチマーク情報を取り、自社の採用方針と照らして調整する役割は採用担当が担います。

具体例として、AI領域の経験があるシニアエンジニアの需要は、直近で圧倒的に高まっています。同じ年収帯でも、AI経験がある人は、ない人と比べて3〜4倍のスカウトを受け取るケースが出ています。データ基盤や技術的チャレンジに関する面白さが効かなくなったわけではありません。

ただし、AI時代のプロダクト開発スタンスを明示していない会社は、候補者から「今の市場や開発の現場を理解していない」と見られるリスクが出てきました。

フックが陳腐化していないかを見極めるには、候補者の声を定期的に拾うのが一番確実です。Step6(クロージング・振り返り編)のアトラクト面談や、承諾者・辞退者インタビューで、「何が決め手になったか/なぜ他社を選んだか」を聞き続けると、マーケットが動くシグナルが定性で掴めます。

選考設計の要点

本選考(技術面接・カルチャー面接)の設計は、採用成果を左右する重要な場です。重要なポイントを2つに絞って整理します。

1. 評価作りの主役は現場(エンジニア責任者)

評価基準と評価観点の整備は、CTO・VPoE・EMといったエンジニア責任者が主役で進める領域です。採用担当の役割は、現場と一緒に伴走しながら 評価観点の統一と一貫性を作る こと、そして 評価軸の言語化を推進する ことです。

面接後の評価が面接官ごとに大きく割れる、通過理由を言語化できない、といった兆候が出たら、CTO・EMに「Must/Want/Niceの再整理」「評価観点の語彙統一」を議題化するよう働きかけ、現場と並走しながら整えていきます。

2. 面接官が複数名いるときの目線合わせ

面接官が複数名いる場合は、面接官間の目線合わせが非常に重要です。評価が最も厳しい、もしくは評価の偏りが強い面接官がいると、その人がボトルネックになってしまい、本来採用すべき候補者まで落としてしまうケース があります。「どういう観点を、どの粒度で見るか」をエンジニア責任者としっかり擦り合わせる必要があります。

採用に深く関わっているエンジニア責任者には、「特定の面接官がボトルネックになっているケースがある」という事実を 数値ベース(面接官別の通過率のばらつき、評価スコアの分散など)で説明する と、理解を得られやすいです。感覚論で伝えるよりも、データで見せたほうが前向きな議論に持ち込めることが多い、という実感です。

面接形式と評価軸

技術面接における技術テストはポジションと候補者の経験に合わせて選びます。把握している範囲でよく使う形式と、そこで見られている観点は次のあたりだと考えています。採用要件と、運用コストを組み合わせて検討することが大切です。

形式

主に見る観点

面接(口頭のみ)

- 経験の解像度(どのプロジェクトで・何を・なぜやったか、役割と成果の具体) - 技術選定の判断軸(選択肢の比較、制約と意思決定の背景、トレードオフの説明) - 伝える力(専門外の相手に届く粒度、質問の受け取り方、対話の双方向性) - 自己認識(強み/弱み・失敗と学び・今後のキャリア観)

コードレビュー

- 設計感覚(責務分離、抽象化の粒度、モジュール境界の切り方) - 可読性への意識(命名・構造・コメント・テストの書き方) - 既存コードの読解力(影響範囲の推定、既存規約・文脈の尊重、改修の妥当性判断) - レビューコメントの質(建設性、深掘りの度合い、優先度判断と提案の具体性)

プログラミングテスト(宿題形式)

- 設計感覚(初期構造、拡張性とYAGNIのバランス) - 実装力(言語・フレームワーク習熟度、エッジケース・例外処理、テストカバレッジ) - 要件定義に対する解釈(曖昧さへの対応、仮説と前提の明文化、スコープの判断) - 時間管理(優先順位付け、残時間の使い方、スコープ調整の判断) - 成果物の説明力(提出後の面接で、設計判断・AI活用の使い分け・改修方針を自分の言葉で語れるか)

システム設計議論

- アーキテクチャ設計(コンポーネント分割、データフロー、依存関係と境界) - 非機能要件への感度(可用性・スケーラビリティ・セキュリティ・レイテンシー・コスト) - トレードオフの言語化(選択肢の比較軸、優先順位の根拠、制約前提の確認) - 運用面への配慮(監視・障害対応・ロールバック戦略・移行戦略)

どの形式にも共通して「実務に近い・抽象度がある・議論の余地がある」の3つを満たす設計となっていることが重要だと考えています。

特に、AI活用が前提の開発環境になったことで、評価の重みも変わってきています。具体的にはコードを書く力そのものよりも、アーキテクチャ設計やAIへの理解度など、成果物に対する理解と意図の解像度を重視するアプローチを取る企業が増えているように思います

選考フィードバックの設計

選考フィードバックは、目的を持って実施することが最も重要です。結果の通知そのものだけが目的なら、フィードバックはむしろ最小限で構いません。「何のために、誰に、何を伝えるのか」を明確にしてから、粒度と内容を設計します。

通過者へのフィードバックは候補者体験を大きく左右する

特に重要なのは、選考通過者に対するフィードバックです。カジュアル面談実施後のフィードバック、各選考フェーズの通過時のコメントを丁寧に行うことは、候補者体験を大きく改善します。候補者は評価される立場で、結果が見えない間は不安やストレスを抱えています。そこに対して、こちらから対話の延長として次のような内容を伝えることに価値があります。

  • 「今日お話ししてこう思った」「こういうところが良かった」

  • 「この経験は自社のこの領域と合うかもしれない」

  • 「ここはお互いのために、もう少し次回深く話していきたい」

評価ではなく お互いの解像度を上げる対話 としてフィードバックを位置づけると、候補者の温度が保たれ、自社側も候補者理解を深められます。通過を伝えるだけで終わらせるか、ここを丁寧にやるかで、最終の承諾率にじわじわ効いてきます。

一方、不通過者へのフィードバックは基本的にはなし、もしくは最小限で問題ありません。ただしエージェント経由の候補者に対しては、エージェントが次の紹介方向を修正できる程度の判定骨子を伝える必要があります。

評価者の生コメントをそのまま転送するとリスクがある

もう一つ意識しておきたいのが、面接官・評価者が残すコメントの扱いです。評価者のコメントは、あくまで 評価を目的として書かれた言葉 です。評価軸に照らして率直に書く以上、「技術力が足りない」「経験が浅い」といった表現が入ることは自然です。

ただしその生コメントを候補者・エージェントに そのまま転送するとリスク があります。受け手の解釈で傷つきやすく、関係悪化や外部発信につながる事例は実際に起こります。採用担当が間に入って、評価者の意図を保ちつつ受け手に届く形に 一度翻訳してから外に出す のが基本です。外向けのフィードバックは次の3要素をセットにするとトーンが安定します。

  • 評価できた点(候補者の強みとして認識した箇所)

  • 印象的なエピソード(面談中の具体的な発言、成果物への言及)

  • 次につながる論点(通過者には今後深掘りしたいテーマ、不通過者には「今回のポジション要件との適合度」に寄せた整理)

面談・面接者にフィードバックするように設計した場合、実施数分発生するので、AIで定型作業としてできるように整備すると、人間の工数と見落としリスクが大きく削減可能なのでおすすめです。

見送り理由はエージェント経由ではフィードバックの価値がある

見送り理由の伝達は、候補者本人に対しては原則として送らない(もしくは最小限で良い)と考えています。送り方を間違えると候補者体験を大きく毀損するリスクの方が上回ることが多いからです。

一方で、人材紹介エージェント経由の場合は、見送り理由のフィードバックが双方向に価値を持ちます。エージェント側は今後紹介する候補者像の精度を高められ、自社側も紹介人材の質向上というリターンが返ってきます。こうしたケースでは、何がどのように課題で、どこがネックになって今回は合わないと判断したのか を、できる限り具体的にフィードバックするのが良いと考えています。

ただしエージェント経由での見送りフィードバックには、次の2点の留意が必要です。

  1. 候補者本人にはそのまま伝えないよう、エージェントに厳密に依頼することをセットにする。エージェントの方も千差万別で、受け取った内容をそのまま本人に転送されるケースは実際に起こります。送信時に「この内容は候補者本人には直接伝えないでほしい」と明文化して伝えておくことで、事故の確率を下げられます

  2. 万が一そのまま本人に送られても、会社ブランドが毀損しない表現を使う。率直に課題を書きつつ、人格・能力の否定を避け、採用判断の論点として残る書き方を意識する

この2点を満たしたうえで、エージェントへのフィードバックは積極的に出していくのがベストな形だと思っています。

送り先別の粒度設計

以上を踏まえて、送り先別にフィードバックの粒度を設計します。

送り先

伝える内容

伝えない内容

エージェント

判定の骨子(技術・カルチャー・ポジションフィットのどこで合わなかったか)、評価できた点と印象的なエピソード

個人的評価の詳細、他候補者との比較、評価者の生コメント

候補者本人

通過者には対話延長としてのコメント(上記)、不通過者には次の選考に活かせる改善余地、評価できた点、印象的なエピソード

法的リスクのある発言(年齢・家族構成などに関する推測)、人格・能力を否定する表現

次プロセス担当者(社内申し送り)

次の面接で見てほしい観点、気になっている懸念、深掘りしてほしい質問

前の面接官の未整理メモ、印象・偏見のままの評価

※経営層・CTO等への数字・傾向の共有は、個別候補者ごとの通過/不通過フィードバックではなく、「カウンターパートへの報告」の枠で扱います。ここでの「選考フィードバック」は候補者1件ごとに動く粒度に限定しています。

次プロセス担当者への申し送りはHRが繋ぐ

申し送り事項は、HRが間に入って各プロセスを繋ぐ形で設計するのが望ましいです。面接官同士が直接繋いでいるだけだと、面接ごとに情報の粒度がバラついたり、途中で抜け落ちたりします。

HRが要点を集約してから次の担当者に渡すことで、選考全体で候補者を立体的に見られるようになります。一次面接で気になった論点を二次面接で深掘りする、カジュアル面談で候補者が話したキャリア希望を最終面接の冒頭で確認する、といった連携が価値を生みます。

運用面では、入力率や入力内容に選考担当者ごとのムラが出やすい領域です。一定のサイクル(月次〜四半期)で入力率・内容を監査し、ムラが出ているところには改善の声をかけていく運用を入れておくと、知見として蓄積できる状態に保てます。

テンプレート化して「観点・懸念・深掘り質問」の3項目を最低限書き残す、くらいの軽い型から始めると続きやすいです。

改善サイクルを週次・月次・四半期で回す

実行フェーズの業務をバラバラに回していると、どこから手を入れるべきかが見えなくなります。

改善サイクルは原則週次で回しつつ、リソース配分の検討が視野に入る場面では月次、予算の分配まで視野に入る場面では四半期、というレイヤーで見直しをかけます。週次が基本のリズムで、月次と四半期は状況に応じて上位レイヤーで判断を入れるイメージです。

頻度

見るもの

主な意思決定

週次(原則)

率と反応(施策指標・初期段階の結果指標)

候補者パイプラインの個別確認、方針・運用調整、候補者要件見直し、追加施策の企画・相談

月次(リソース配分)

チーム投下工数、月次KPI到達率

人的リソースの再配分、ポジション優先度の入れ替え、追加施策の企画・相談

四半期(予算・構造)

ファネル構造、媒体ROI、採用戦略全体

媒体契約更新・解約、予算分配、体制再設計

ここで扱うのは「運用中の継続改善」です。採用施策全体を総括する振り返り(定量の歩留まり分析、候補者インタビュー等)はStep6(クロージング・振り返り編)で扱います。

本記事の改善サイクルは率と構造のモニタリング、Step6の振り返りは施策全体の成否を定量・定性で総括する場、とレイヤーを分けておくと良いかなと思います。

次へ — スカウト運用と媒体CS連携

企画・求人票・選考設計・改善サイクルまでが本記事のスコープです。次のStep3では、採用実務の中で採用担当が最も時間を投下するスカウト運用と、その運用を支える媒体CSとの連携を扱います。

永井涼平

HRdev代表

レバレジーズ、クラウドワークス等を経て2021年にHRdev創業。18年以上エンジニア採用の最前線に立ち、ログラス・MFS・SALESCORE等の支援実績を持つ。

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