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AIエンジニア・機械学習エンジニア・データサイエンティストの違いは?求める人物像に届けるための考え方

AIエンジニア・機械学習エンジニア・データアナリスト・データサイエンティスト・データエンジニアの違いを「作る対象」で見分ける方法を採用担当向けに解説。比較表・経歴の見分け方・募集での職種名の選び方まで整理します。

「AI人材を採ってほしい」という要望を現場や経営から受けたとき、最初につまずくのが職種名の特定です。

AIエンジニア、機械学習エンジニア、データサイエンティスト。名前は似ていますが、任せられる仕事は大きく違います。データアナリストやデータエンジニアといった近い職種も加わると、見分けはさらに難しくなります。

ただし、一つ前置きが必要です。AI・機械学習・データ分析まわりの職種名は標準化されていません。

同じ「AIエンジニア」でも、ある会社ではLLMを使った機能開発を指し、別の会社では機械学習モデルの開発を指します。職種名は絶対的な定義ではなく、採用要件を整理するための実務上の分類として扱うのが安全です。「AI人材」という言葉も、AI・機械学習・データ分析に関わる人材をまとめた便宜的な呼び方にすぎません。実際の募集ではこのまま出さず、成果物に応じて職種名を分けていきます。

「AI人材」の違い

大まかには作る対象で区別できます。AIエンジニアはAIを組み込んだ機能、機械学習エンジニアはモデルとその運用基盤、データサイエンティストとデータアナリストは分析、データエンジニアはその前提となるデータ基盤を作ります。

ここでは切り分けやすくするため、AIエンジニアを「既存のモデルやAPIを活用して、AI機能・AIアプリケーションを実装する職種」として扱います。ただし企業によっては、AIエンジニアがモデル開発やMLOps(モデルを本番で安定して動かし続ける運用)まで担うこともあります。職種名の幅は会社ごとに違う、と思っておくくらいがちょうどよいでしょう。

実際の職種の境界は企業によって異なります。たとえば機械学習エンジニアが、モデル開発だけでなくMLパイプラインの構築などデータエンジニアに近い業務まで担うことは珍しくありません。スタートアップでは1人がいくつもの職種をまたいで動くこともあります。固定的に決めつけると、かえって自社の実態と合わなくなります。

それでも「作る対象」で当たりをつけると、5つの職種はこう整理できます。

職種

何を作るか(ざっくり)

AIエンジニア

LLMや画像認識などのAI機能を、既存のモデル・APIを活用してプロダクトに実装する。たとえばLLMを使った社内ナレッジ検索や、APIで画像認識を呼び出す機能の開発

機械学習エンジニア

予測・分類・推薦などを行うモデルそのものと、それを安定して動かす基盤を作る

データサイエンティスト

統計・機械学習で事業課題を解き、分析やモデルの結果を意思決定につなげる

データアナリスト

データを集計・可視化し、意思決定のための分析結果を作る

データエンジニア

分析や学習の前提になるデータ基盤(収集・蓄積・加工の仕組み)を作る

「何を成果物として受け取りたいか」を考えると、どの職種に近いかが見えてきます。動く機能がほしいのか、精度の高いモデルがほしいのか、判断材料になる分析がほしいのか、その前提のデータ基盤がほしいのか。ここが最初の分かれ道です。

業務内容・スキル・成果物はどう違うのか

「作る対象」を起点にすると、業務・スキル・成果物・隣接職種まで一貫して見比べられます。

職種

作る対象

主な業務

代表スキル

成果物

隣接職種

AIエンジニア

AIを組み込んだ機能・アプリ

AI機能の設計・実装、既存プロダクトへの組み込み、評価・運用

Web・バックエンド開発、LLM API統合、RAG設計、LLMによる評価設計、セキュリティ・コスト最適化

動くAI機能・AIアプリ、評価・監視の仕組み

Webエンジニア、機械学習エンジニア

機械学習エンジニア

モデルと運用基盤

モデル開発・改善、学習パイプライン構築、推論API化、監視

Python、統計・数学の素養、特徴量設計、モデル評価、MLOps

事業要件・評価指標を満たすモデル、再学習・推論・監視の仕組み

データサイエンティスト、データエンジニア

データサイエンティスト

課題を解く分析とモデル

課題設定、分析設計、モデル検証、示唆出し、意思決定への接続

統計・機械学習、SQL、実験設計、ビジネス理解

検証された分析・モデル、意思決定につながる示唆

機械学習エンジニア、データアナリスト

データアナリスト

意思決定のための分析

KPI設計、集計・可視化、仮説・施策検証、レポーティング

SQL、BIツール、統計の基礎、課題設定、ドメイン理解

分析レポート、ダッシュボード、KPI定義、施策検証結果、意思決定資料

データサイエンティスト、データエンジニア

データエンジニア

データ基盤

データの収集・蓄積・加工、パイプライン構築、データ品質管理

SQL、ETL / ELT、分散処理、クラウドデータ基盤、ワークフロー管理

使えるデータ基盤、データパイプライン

データアナリスト、バックエンドエンジニア

まぎらわしい職種の境界を見分ける

ここからは、特に混同されやすい職種のペアを切り分けます。表だけでは見えにくい、隣り合う職種の違いです。

「既存AIの活用」と「モデル開発」は必要な経験が違う

AIに関わる仕事は、大きく「既存のLLM・APIを活用する仕事」と「自社でモデルを学習・評価・改善する仕事」に分かれます。どちらもAIに関わりますが、求められる経験は別物なので注意しましょう。「AIエンジニアがほしい」のか「機械学習エンジニアがほしい」のかで迷ったら、この表のどちらに近いかを考えると整理できます。

観点

LLM・API活用

モデル開発

主な関心

既存モデルをどう使うか

モデルをどう作り、改善するか

必要な経験

アプリ開発、API設計、RAG、評価、運用

データ整備、特徴量設計、学習、評価、MLOps

主な成果物

AI機能、業務アプリ、エージェント

予測・分類・推薦モデル、推論基盤

近い職種

AIエンジニア(AIアプリケーションエンジニア)

機械学習エンジニア

機械学習エンジニアは扱うデータで専門が分かれる

ひとくちに機械学習エンジニアといっても、扱うデータで専門領域が大きく分かれます。売上や行動ログのような表形式の構造化データを扱う「テーブルデータ系」と、画像・音声・テキストのような非構造データを扱う「非構造データ系」です。関心の向く先も、必要な経験も大きく違います。

観点

テーブルデータ系

非構造データ系

扱うデータ

売上・行動ログ・属性などの構造化データ

画像・音声・テキストなどの非構造データ

代表タスク

需要予測、与信スコアリング、離反予測、レコメンド

画像認識、物体検出、音声認識、自然言語処理

中心スキル

特徴量設計、統計、勾配ブースティング系

深層学習、事前学習モデルの活用・ファインチューニング

関心の中心

ビジネス指標に効く特徴量と精度

モデル構造とデータ量、表現の学習

両方を高いレベルで備えた人はかなり希少です。募集では、自社の課題がどちらの領域なのかをまず見極め、片方に絞るのが現実的です。「モデル開発」とだけ書くと曖昧なので、需要予測なのか画像認識なのか、対象とするタスクをできるだけ具体化しておきましょう。

自社の課題はどの職種に対応するのか

職種名から考えると迷いますが、「自社で何を実現したいか」から逆引きすると、対応する職種は素早く絞り込めます。過剰な要件も避けられます。

実現したいこと

対応する職種

AIを使った機能をプロダクトに組み込みたい

AIエンジニア。既存のモデルやAPIを活用して、機能として動かすところが中心

予測や判定の精度を上げたい、自社データでモデルを学習・改善したい

機械学習エンジニア。モデルそのものの改善や、学習・運用の基盤づくりが必要

高度な分析や予測で事業判断を支えたい、データから新しい示唆を引き出したい

データサイエンティスト。課題設定からモデル検証、意思決定への接続まで

データから意思決定したい、現状を数値で把握したい

データアナリスト。集計・可視化・分析で判断材料を整える

そもそも使えるデータが整っていない、分析や学習の前提を整えたい

データエンジニア。データの収集・蓄積・加工の基盤を整える

ここで知っておきたいのが、同じAI機能でも、それを実現できる職種は1種類とは限らないという点です。たとえば社内向けのAIチャットなら、AI活用に明るいWebエンジニアでも、AIアプリケーション開発の経験者でも、機械学習エンジニアでも形にできることがあります。求められる品質や運用の重さによって、適任のタイプが変化します。

こういうときは、すべての要件を1つの求人に詰め込まないほうがうまくいくことがあります。

実現できる人材のタイプ(達成ペルソナ)ごとに求人を分け、1つの枠を複数の訴求で追うイメージです。Webエンジニア向けには「既存のAPIで素早く機能を作る」、AIアプリ開発者向けには「RAGの精度改善と運用まで担う」と、同じポジションを別々の切り口で打ち出すと、母集団を広げられます。

候補者の経歴はどこで見分けるのか

レジュメの読み方と分類

職種名は自己申告なので、それだけでは判断材料になりません。経歴書で見るのは、使っているツールと、担当してきた業務の記述です。この2つから、どの方向の人材かが見えてきます。

ツール名は、おおまかな目安として次のように対応します(ツール名は変化が速いため、あくまで目安です)。

経歴に出るツール・記述

寄っている系統

LangChain / OpenAI API / RAG関連の記述

LLM活用・AI機能実装系

TensorFlow / PyTorch / scikit-learn

機械学習・モデル開発系

Tableau / Looker / BigQuery / SQL中心の記述

データ分析系

Airflow / dbt / Spark / データ基盤の記述

データエンジニアリング系

そもそも、ツール名だけで判断すると誤判定が起きます。

Pythonは機械学習にも分析にも自動化にも使われ、BigQueryはアナリストもデータエンジニアも使います。LangChainを使っていれば優秀とも限らず、薄い実装のこともあります。見るべきなのは、ツールを使って何を設計し、何を改善し、どの成果物まで責任を持ったかです。

たとえばRAG(社内文書などを検索し、その内容をLLMに渡して回答させる仕組み)の実装といっても、単にLLMのAPIと検索をつなぐだけではありません。実務では、検索対象データの整備、チャンク分割の設計、検索精度の改善、回答品質の評価、権限管理、ログをもとにした継続改善まで含まれることがあります。「RAGをやった」という記述だけで判断せず、どこまで踏み込んだかを確認することが望ましいです。

本番環境とPoCの差

AI・機械学習の経歴では、「作ったもの」だけでなく「どう評価したか」「本番でどう運用したか」を見る必要があります。とくに見落としやすいのが、PoC(試作・検証)と本番運用の差です。

PoCは、本番のようなデータ量・品質や運用を前提にしていません。だから「PoCで動いた」だけでは本番で通用するとは限らず、不十分と見なされることがあります。これは特に機械学習エンジニアで多いポイントです。PoCで高い精度が出ても、本番ではデータの分布や量、ノイズが変わり、継続的に運用するなかで精度が落ちることがあるからです。

本番ではじめて問われるのは、次のような点です。

  • 実ユーザーへの提供と、指標・ログにもとづく評価

  • 権限管理と情報漏洩への対策

  • 利用量に応じて増えるコスト

  • 障害時の監視・復旧

  • モデルや機能の継続的な改善

経歴を読むときは、肩書やツールよりも、担当したフェーズを見るのが確実です。課題定義、データ準備、実装、評価、本番化、運用、事業への接続。このうちどこを担ったかで、その人の強みが見えてきます。

PoC止まりなのか、実ユーザーに提供して継続的に改善した経験があるのか。「何を作り、どこまで評価・運用したか」を起点にすると、自社が求める職種との距離をつかみやすくなります。

各ポジションの求人作成で気をつけること

「AI人材募集」とだけ書いた求人がうまくいかないのは、応募する側が「自分の仕事はこれだ」と思えないからです。機能を作りたい人、モデルを育てたい人、分析で意思決定を支えたい人は、それぞれ見たい情報が違います。一括りにすると、結果的に誰の関心にも引っかからない求人になりがちです。

順番としては、実現したい成果物を決め、主業務を決め、必須経験を絞り、最後に職種名をラベルとして付けると失敗しにくくなります。職種名から先に決めるより、業務内容を適切に整理することがおすすめです。

ポジション

求人票で特に押さえる項目

AIエンジニア

組み込む先のプロダクト、使うAI(LLM・API・自社モデル)、RAGや評価・運用までの範囲、既存システムとの連携、品質・コスト・セキュリティ要件

機械学習エンジニア

解くタスク(予測・分類・画像・自然言語など)、扱うデータ(テーブルか非構造か)、求める精度・評価指標、学習から推論・運用のどこまでか、本番運用の有無

データサイエンティスト

解きたい事業課題、使えるデータと分析環境、分析とモデルのどちらに重心か、意思決定への関わり方、連携するステークホルダー

データアナリスト

分析対象の事業領域、使うBI・データ基盤、KPI設計や施策検証の関与、レポートが支える意思決定(誰のためか)

データエンジニア

整備するデータの種類・規模、既存のデータ基盤とツール、バッチ・ストリーミングの要否、品質と運用の責任範囲、連携する分析・機械学習側

文章で書き分けると、たとえばこうなります。

  • AIエンジニア寄り — 「LLM APIを活用した社内ナレッジ検索機能の開発を担当。RAG構成の設計、検索精度・回答品質の改善、ログ分析、権限管理、既存Webアプリケーションへの組み込みまでを担います。」

  • 機械学習エンジニア寄り — 「自社データを用いた需要予測モデルの開発・改善を担当。特徴量設計、モデル評価、学習パイプラインの整備、推論API化、監視までを担います。」

  • データサイエンティスト寄り — 「プロダクト利用データを用いて、KPI設計、ユーザー行動分析、施策検証、ダッシュボード作成を担当。分析結果を事業責任者の意思決定を支援します。」

なお、リサーチをする際にAI人材の求人数や難易度を媒体横断で比べたくなりますが、媒体ごとに職種カテゴリの定義が違うため、意味がそろわず誤解を生むことがあるので注意しましょう。比較するなら同一媒体の中で見るのがおすすめです。

まとめ

「AI人材」のように、隣接するような職種があるポジションを採用するときには、どのようなアウトプットを出す役割を採用するのかしっかりと検討することが大切です。動く機能か、精度の高いモデルか、判断材料になる分析か、その前提のデータ基盤か。作る対象が決まれば、どんな職種として自認している方へメッセージを届けるべきか見えてきます。

自分たちが採用支援に入るときも、職種名にとらわれず、事業課題と成果物から逆算するところから始めます。これが、AI・機械学習・データ職種の採用でつまずかないために大切ですので、ぜひ参考にしていただけたら嬉しいです。

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永井涼平

HRdev代表

レバレジーズ、クラウドワークス等を経て2021年にHRdev創業。18年以上エンジニア採用の最前線に立ち、ログラス・MFS・SALESCORE等の支援実績を持つ。

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